2009年 9月 12日 (土)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉62 望月善次 冷やゝかの銀河光軸

 冷やゝかの 銀河光軸 夜の空に一面
  かゝる 秋の風かな
 
  〔現代語訳〕冷たく銀河の光の軸がある夜の空の、空一面に吹き渡る秋の風ですねぇ。

  〔評釈〕「秋風節理」(署名 陸奥のおのこ)四首〔『アザリア』第三輯(盛岡高農アザリア会、大正六年十月十七日)〕の三首目。「夜の空」を「銀河光軸」と把握し、その空一面に秋風が吹き渡っているというスケールの大きな作品。「銀河鉄道の夜」を挙げるまでもなく「銀河」は「銀河系や天の川に代表される賢治の天体空間のシンボル。」〔原子朗『新宮澤賢治語彙辞典』における「銀河鉄道」の一節。〕であるが、嘉内もまた中学校時代から〔甲府中学校〕、同校の英語教師であった星の文学者「野尻抱影」の影響もあってか、星や宇宙空間に関心があったと言われている。中学一年の時のスケッチブックには「南アルプス鳳凰三山から甲斐駒ケ岳の連なりと上空のハレー彗星」を描いたものが残されていて、「銀河ヲ行ク彗星ハ夜行列車ノ様ニテ遙カ虚空ニ消ヱニケリ」と記されていることも著名な事実。
(盛岡大学学長)

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