2009年 9月 17日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉275 岩橋淳 おだんごはん

     
   
     
  永く親しまれている、定番絵本です。これまで民話をベースにした絵本としては『三びきのやぎのがらがらどん』(ノルウェー)などを挙げてきましたが、一筋縄ではいかないような展開を、結末、あっけらかんと解決してしまうパターンがあります。『〜がらがらどん』では、恐るべき怪物をヤギの一突きで葬ってしまいましたが、さて本作の結末は…。

  貧しい農家のおばあさんが小麦粉をこそげ集めて焼いた「おだんごぱん」。まさに食卓に供せられんとしたその時、ものの弾み、いや「かれ」自身の意図で、家をぽーんと飛び出して、逃走劇の幕が上がります。

  転がり逃げるパンを追うために次々と登場するのがウサギ、オオカミ、クマ、そしてキツネ。ロシア民話『おおきなかぶ』、ウクライナ民話『てぶくろ』でも、たくさんの動物たちが連なって奮闘しますが、本作での弁天小僧ばりに自らの出自を滔々(とうとう)と歌って聞かせる「おだんごぱん」の不敵、いやさ楽天ぶりも見もの。テンポのよい「繰り返し」も人気絵本の条件を満たしています。

  作画の脇田和氏は、若くしてドイツに学び、戦前から画壇で活躍した大家。海外の教科書で出会いそうな異国情緒漂う登場者たちのたたずまいも、納得です。

  【今週の絵本】『おだんごぱん』ロシア民話、せたていじ/訳、わきたかず/絵、福音館書店/刊、1260円(税込み)(1966年)


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