2009年 9月 22日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉79 及川彩子 夏の高原を歩く

     
   
     
  人口1万人余の高原の町アジアゴは、この夏も避暑客で、3倍にも膨れ上がりました。

  ほとんど雨も降らず、日中の平均気温は25度。ミラノとベネチアを結ぶ幹線道路から近く、北イタリアのさわやかな別荘地として人気です。郊外のわが家も、別荘として建てられたものです。

  高原の楽しみは夏山散策。アジアゴの町から山手へ車で30分も行くと、遊歩道案内板がいくつもあり、その入り口に車を止め、山道を歩くのです。高原特有の色鮮やかな草花、ノロ鹿やモルモットに出合うことも珍しくありません。わが家の娘たちも歩き慣れたコースで、先日はモルモットの巣穴を見つけて大喜びでした

  のんびり歩いて一時間余、急に視界が開け、モミの林の向こうにアルプス特有の岩山の大パノラマが広がります。垂直に切り立つ岩山は、ドロマイドと呼ばれる石灰質の山塊で、時間や天候によって、さまざまな色合いや表情を見せてくれる岩肌です。 

  丘の上の草原で草をはむ牛の群れ…何度訪れても、別世界に迷い込んだような感動があります。リュックを背負った多くの家族連れやグループ、時にはドイツ方面から、自転車でアルプスを越えてきたという若者たちに出会うこともあります。

  歩き疲れた後はバーベキュー。遊歩道沿いの至る所にカマドの設備があり、森で出会った家族たちと一緒に肉を焼き、山合いの牧場から調達したチーズや生ハムでワインを楽しむのです。

  バーベキューの準備のない時は、牧場主の庭先のテラスへ。夏の間だけ開かれるバール(写真)で、自家製のサラミやチーズをつまみながら、山の景観を満喫します。私たちが訪れた日も、日焼けした中年グループが、チーズをさかなにワインを傾けていました。

  アルプス地方の短い夏は、大自然との素朴な語らいとともに過ぎていきます。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします