2009年 9月 24日 (木)

       

■ 県内バス会社には脅威 高速道無料化

 民主党が政権公約として打ち出した高速道路の無料化に対して、県内の公共交通機関は交通渋滞や経営圧迫への危機感を募らせている。既に麻生政権によるETC割引で休日の高速道の交通量は増大しており、無料化はこれまでの交通機関の住み分けを大きく変える可能性がある。バス、鉄道の事業者は高速道の渋滞やマイカーへのシフトにより、公共交通の定時性や採算性が脅かされないよう求めている。

  盛岡市の岩手県交通の城澤優次広報担当は高速道の無料化について、「定時性の確保が難しくなる。無料化で交通量が増えることが予想される。乗客の数がどのくらいになるかは分からないが、現在は急激に減ったというほどではない。まず乗客の皆さんに迷惑がかからないよう運行しなければならない」と話す。

  日本バス協会のまとめによると、今年の高速バスは東北・関東の6事業者で盆期間は5時間34分の運行時間が最大7時間52分、ゴールデンウイーク期間は9時間11分まで遅れる便が出た。ETC割引による高速道の渋滞で、多くの路線で定時運行が困難になった。サービスエリアの混雑で休憩に支障が出るなど、事業者と利用者の負担が増加した。

  岩手県北バス営業本部乗合事業部の藤原昌広部長は、「バス事業者はマイナスが大きい。地域の活性化で潤っているところもあるが、全体的に見ると厳しい。無料化でさらに利用者が減少する懸念がある。それで撤退や減便が起きると公共交通機関の衰退につながる」と話す。同社は民事再生による立て直しを図っており、バス業界では経営の上から公共交通の優位性が損なわれることに懸念を示す。

  県バス協会の伊壺時雄専務理事は「これまで伸びてきた高速バスは、ここ2、3年は頭打ちの傾向にあった。高速バスの位置づけは、多くの事業者が高速道で収益を上げて路線全体を維持してきたことにある。高速バスが影響を受けて悪化すると一般路線がどうなるか。赤字路線の維持が難しくなる心配がある」と話し、過疎地など不採算路線へのしわ寄せを警戒する。

  盛岡以北は新幹線と高速バスを乗り継ぐ乗客が多いため、列車からマイカーに乗り換えることの影響も事業者には大きい。鉄道事業者は定時性と安全性の優位で高速道無料化に対抗する。

  JR東日本盛岡支社の福田泰司支社長は「支社管内の鉄道営業収入は4月から7月まで前年の91・8%、8月は若干上がって96%で下げ止まった感があるが、8月分には9月の5連休の前売り分があった。例年に比べて楽観視できない。夏の総期間の利用状況は93%。高速道の利用が増えている状況が出ているので、ETC割引の影響は無視できない。その中でしっかり安全安定輸送に努め、JRを選択してもらいたい」と話す。

  無料化に対しては「時期や手順についてわれわれにも十分に分からないところがあり何とも言えないが、今でも休日1千円の影響がある以上、安全輸送のベースに加えて鉄道の旅への魅力を感じてもらえるようPRしていきたい」と話し、一層の営業努力を傾ける。

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