2009年 11月 17日 (火)

       

■ 〈国際日本文化研究センター海外シンポジウム報告〉上 望月善次

     
  オープニング・セレモニーであいさつする国際日本文化研究センター代表の宇野隆夫教授(左)  
 
オープニング・セレモニーであいさつする国際日本文化研究センター
代表の宇野隆夫教授(左)
 

 国際日本文化研究センターの第16回海外シンポジウムは、さる11月3日(火)、4日(水)、インドのネルー大学(Jawaharlal Nehru University/JNU)で行われた。正式名称は、「アジア新時代の南アジアにおける日本像―インド・SAARC諸国における日本研究の現状と必要性("Changing  Perception of Japan in South Asia in the Asian Era:The State of Japanese Studies in India and Other SAARC Countries")」であった。

  会場となったネルー大学および国際交流基金ニューデリー日本文化センターの後援を得てのことでもあった。

  報告者も、国際日本文化研究センターからの招待を受けた。勤務先は、ちょうど申請中の新学部(栄養科学部)の文部科学省からの認可の出る時期とも重なっていたが、勤務先の理解も得て出席することができた(認可の実質的な通知は出発前にあり、出国前の10月28日には久慈次男理事長ともども記者会見もでき、さすがにホッとした)。関係者への感謝の思いも込めての報告を行いたい。

  シンポジウムの狙いは、日本からのアプローチが遅れている南アジア地域における開催によって、南アジアの日本研究者のネットワーク作りの一助とし、研究者間の情報を緊密化し、海外交流の礎石となり、南アジアの日本研究の活性化を目指したものであった。結論的なことを言ってしまえば、その狙いは十分に達成されたと見た。

  日本側の参加者は15人(うち国際日本文化研究センター関係者10人)。内訳は、発表者等の研究者12人、サポートの事務担当3人であった(事務担当の厚い支援も、今回の特徴の一つであった)。研究発表に限っても、インド側の参加者は12人(うちネルー大関係者5人)。そのほか、スリランカ、ネパール、バングラデシュからも各1名の発表があった。

  研究発表は以下のように6つのセッションにおいて行われた。

  第1セッション=仏教文化〔発表者4名(うち日本側発表者3名)〕
  第2セッション=近現代文学〔発表者5名(うち日本側発表者3名)〕
  第3セッション=視覚芸術〔発表者5名(うち日本側発表者2名)〕
  第4セッション=政治・経済・社会学〔発表者5名(うち日本側発表者1名)〕
  第5セッション=南アジアの日本受容〔発表者3名(日本側発表者はなし)〕
  第6セッション=考古学〔発表者3名(うち日本側発表者1名)〕

  第1セッションから第3セッションまでが初日、第4セッション以下が2日目であった。

  質疑を含めて1人30分が発表の持ち時間であったが、インドには、日本の学会などのような「時間厳守」の文化はなく、もともとが詰め込まれた日程であったせいか、終了時間は初日が夜の8時近く、2日目が夕方の6時過ぎとなってしまった。しかし、先に述べたように、発表内容は多様な分野にわたり、普段は、「文学」や「教育」の発表に親しんでいる報告者には、実に刺激的な時間でもあった。

  今回は、その詳細に及ぶ余裕はないが、特に以下の発表には関心をそそられた。

  小峯和明(立教大学)「須弥山世界の図像と言説を読む」

  サンバ・ビスヴァス(Sampa BIAWAS)「"Women of Ukiyo-e"(浮世絵における女性像)」(インド・国立博物館研究所)

  細川周平(国際日本文化研究センター)「手塚治虫、インドに出会う〜仏教、ガンジー、『火の鳥』」

  中島岳志(北海道大学)「パール判決書と戦後日本のナショナリズム」

  ギータ・キーニ(Gita A KEENI)「"Perception of Japan in India〜Past and Present:A View from Santineketan"(「過去と現在におけるインドに日本に対する視点〜シャンティニケタンからの考察」)

  また、宇野隆夫教授(国際日本文化研究センター)等グループによる「GPS/GISを用いた考古学的な研究」の進展振りにも圧倒されるものがあった。

  次回は、自身の発表を中心とした報告を行いたい。
(盛岡大学学長)



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