2009年 11月 19日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉284 岩橋淳 めぐろのさんま

     
   
     
  前回の柿に続き、秋の味覚シリーズ、秋刀魚(さんま)の登場です。

  表紙でご満悦は、お殿様。サンマをその名の通り刀に見立てている? いやいや、「よいサンマの見分け方」の秘訣、尾を握ってぴん、と立つのが鮮度の良いもので…、ということが画意であったかどうか定かではありませんが、とにかく、えいっ、どうだ、サンマだぞう、と誇りたくなるくらい、美味、滋味なんであること、これは今さらわたくしなどが申し上げるまでもなく、みなさまよーっくご存じのところでありましょう。

  さて、当時の目黒と言えばは江戸もかなりのハズレですが、ここで庶民の昼餉(ひるげ)に供されるべく焼かれていたサンマにすっかり魅せられてしまったお殿様をめぐって、忠臣こぞりてのひと騒動、というおなじみの滑稽噺(こっけいばなし)を絵本化した、好評シリーズの一冊です。

  この噺、ポピュラーなだけあって研究考証も色々とされていて、お殿様の素性、サンマの出自など、高座にかける噺家によってさまざまな設定がなされているんですが、焼き方に関しては、網に載せて焼いたようなものではなく、ヤキイモよろしく焚(た)き火に突っ込んで焼き上げた、ワイルドなもの。

  せっかくの旬の脂を抜き、小骨を抜いてツミレ汁にしてしまった(しかも毒味役のカジッタやつ!)とは較べるべくもないのですが、お殿様、もしも三陸であがったサンマを召し上がっていたら、オチもまた違っていたかもしれません。

  【今週の絵本】『めぐろのさんま』川端誠/作、クレヨンハウス/刊、1260円(2001年)

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