2009年 11月 25日 (水)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉244 八木淳一郎 望遠鏡への歩み(その5)

 日本製の小型カメラの優秀さは広く世界に認められているところですが、望遠鏡の分野ではいかがでしょう。これも中・小型のものについては日本製品は世界でも屈指といっていいものです。もちろんメーカーによる優劣の差はありますが、いずれもカメラと違って一般にはあまりなじみのない名前のメーカーばかりです。

  以前はニコンやペンタックスといったブランドの望遠鏡もありましたが、もう製作しておらず、中古品業界でのみ注目を集めているに過ぎません。

  さて、タカハシ(高橋製作所)、三鷹光器、中央光学、ビクセンなどのブランドは世界でもトップレベルの望遠鏡ですが、恐らく多くの方はこれらの名前をご存じないでしょう。

  かつて日本は何から何までドイツ製のカメラをお手本にし、やがて優れたカメラを作るようになったあげく、そのお師匠さんであるドイツのものを駆逐してしまいました。そんなわが国のことですから、望遠鏡の分野でも遠からず世界を席巻するのでしょうか。

  カメラと同じように望遠鏡や双眼鏡などの小型の量産品は超一級と言って過言ではありませんが、しかし、天文学をリードする大型の観測機器についてはそう甘くはありません。

  名だたる世界の天文台の大望遠鏡に、日本製のものは残念ながら顔を出すことはありません。日本国内にある学術用天文台やハワイのすばる望遠鏡もすべて同じです。

  望遠鏡の架台や駆動装置などの機械部分に関しては日立、三菱、石川島播磨などがいろいろな国から発注を受けていますが、肝心かなめの大型レンズやミラーはアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、ロシアなどに太刀打ちできないのが現実です。

  ほかの分野でもそうなのかもしれませんが、このことは基礎科学と呼ばれるものを日本が軽視してきたためとも言われ、光学の専門家たちは現状を憂えています。即座に金銭上の利益を生み出すこととか金銭的に保証された身分を守る生き方しか価値を見いださないようになってしまった日本人、あるいは教育や今までの政治などがそうだったためなのでしょうか。

  夢やロマンというものは長い時間をかけてはぐくみ温めてこそ開花するものに違いありません。ちょうど卵を孵化させるように。
(盛岡天文同好会会員)

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