2010年 4月 3日 (土)

       

■ (保阪嘉内の短歌)139 望月善次 品川の台場の海は

 品川の台場の海は輝くとキュラソオの
  瓶は古ひたるかな。
 
  〔現代語訳〕品川台場の海は輝いています。その輝きと対をなすようにキュラソーの瓶は古くなりましたねぇ。

  〔評釈〕「東京悲哀調」五首〔『アザリア』六号(大正七年六月二十六日)〕中の四首目。「台場」は、江戸末期に品川沖に築かれた砲台。「品川台場」や「お台場」の名もある。未完成のものも含めて七砲台が築かれた。このうち、第三台場は、史蹟公園となり、レインボーブリッジ、ゆりかもめ、東京臨海高速鉄道などで東京新名所となっている〔『マイ・ペディア』〕ことは読者各位の良く知られているところでもあろう。「キュラソー」は「(初め中央アメリカ、オランダ領西インドのクラサオ島で製したからという)オレンジの果皮を香味料としたリキュール。」というのが『広辞苑』の説明。「陽と陰」の対比は、詩歌の常とう手段の一つであるが、抽出歌においては、「陽」を「輝く品川台場の海」、「陰」を「キュラソーの瓶」にしたわけである。ところで、キュラソーには、白色のものとオレンジ色のものがあるというのであるが、この場面において読者各位が選ぶ色はどちらのものであろうか。
(盛岡大学学長)

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