2010年 4月 20日 (火)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉145 望月善次 左団次の宗任はよしと

 左団次の宗任はよしと三段目安達原の
  雪を踏み消す。
 
  〔現代語訳〕(市川)左団次が演ずる宗任の役が素晴らしい。「奥州安達原三段目」中の雪をも踏み消す様子などがたまらない。

  〔評釈〕「都市居住者」九首〔「東京雑信」、『アザリア』六号(大正七年六月二十六日)〕中の五首目。嘉内のノートでは「KABUKI NITE」の中の作品である。相変わらずの「素人の当て推量」である。舞台は「奥州安達原三段目(袖萩祭文の段)」か。環の宮の守り役である平謙杖直方には、二人の娘がいる。妹の敷妙は八幡太郎義家を夫とするが、姉の袖萩は浪人(実は安倍貞任)に恋して駆け落ちするが、今は盲目となり「祭文語り」となっている。貞任たちは、環の宮を誘拐する。父の窮状を知った袖萩は、「祭文語り」としてその住居に近づき祭文を歌う。母はその声から袖萩だと分かり、夫の環の宮に娘を許すことをこうが夫は応じない。貞任の兄宗任は、袖萩に環の宮の暗殺を強いる。桂中納言にふんして環の宮を切腹に追い込んだ貞任たちの企ては最後のところで義家の逆襲に遭う。こうした粗筋の紹介が一首の理解にどの程度必要なものかにも触れたいのだが、すでにその余裕がない。
(盛岡大学学長)

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