2010年 4月 25日 (日)

       

■ 運輸業界に戸惑い 高速道路新料金

 6月から始まる高速道路の新料金体系について運輸業界に戸惑いが広がっている。新料金体系は、車種別に一定の走行距離までの上限を設ける仕組み。現行の割引制度に代えて中・大型は5千円、特大は1万円の料金が設定された。長距離には有利だが、中・短距離は現行の割引の恩恵がなくなり、実質的に負担増となる。県トラック協会は上限制に反対の見解を示している。バス、トラックとも昨年のETC割引から高速道が混雑し、定時性が損われた点を懸念しており、迷走する政策に業界の実態を反映した交通体系を求める声がある。

 国土交通省が打ち出した高速道路の新料金は現行の上限1千円のETC割引や業務車両の割引を撤廃し、軽・エコカー、普通車、中・大型車、特大車ごとに上限料金を設ける。中・大型車は5千円、特大は1万円以上は支払わずに済むため、岩手から関東、関西方面への輸送には有利。その代わり中・大型車の深夜5割引、昼間3割引は撤廃され、深夜3割引となるため、近距離輸送は実質値上げとなる。

  県トラック協会の佐藤耕造専務理事は新料金体系について「反対、納得していないのが実態。トラック5千円、トレーラー1万円では5千円以上走り、東京方面にコメや野菜を運ぶ車にはメリットがあるだろう。しかし5千円以上払っているのは、全国では比率からいくと11・8%。県内は2割から3割に上がるかもしれないが、全国では5千円以下で走っている車が88%だった。今までの中型以上のトラックの深夜5割、日中3割引が夜の3割引だけになるなら、近距離は値上げになる車が多い」と話した。「ただ長距離の車が4割ほどあればメリットがあるのでは」と話し、業者ごとに事情は異なるという。

  盛岡市内の運送会社の社長は「全国の意見を聞くと秋田や青森から築地や成田に運んでいる長距離の人は歓迎のようだ。うちは北東北3県の輸送がメーンで、労働時間短縮のため高速を使っている。100`程度の近距離なら値上げになる」と話した。「ただ昨年から問題になっているのは連休などに大型トラックが休憩する場所がなくなったこと。政治家には運輸業界の状況をよく知って施策を決めてほしい」と話した。

  岩手県交通の古屋正史運輸統括本部長は「長距離の夜間高速は5千円になれば料金は下がるが、中距離は今までの割引がなくなると負担増になる可能性がある。報道によると120`を超えないと割引に該当しないと聞いている」と話す。昨年からのETC割引の影響について、「中距離高速の方が影響が大きい。特に大型連休は渋滞などで利用者減だけでなく、到着時間の面でもお客様の方にご迷惑をかけるような結果になっている。バス協会を通じて中身を見ていろいろ要望を出していくことになると思う」と話した。

  岩手県北自動車の松本順社長は今月からの就任にあたり、「ETC割引によって高速バスの土日祝日の利用者数は路線によって1割くらい減った。連休や盆正月に大渋滞が発生して定時性が損なわれ、お客様が高速バスを回避する現象が起きる。国の政策として5年10年後に公共交通をネットワークとして大事にしていくのか、また道路を作って車を売るような形での経済的な考えを維持していくのか、どちらを選ぶのだろうか」と話した。

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