2010年 5月 2日 (日)

       

■ 〈早池峰の12カ月〉43 丸山暁 貧しくても豊かな道

     
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  以前、わが家の菜園にはいろいろ名前がついていると紹介したが、写真は畑の東側を縁取るデージーパス(デージーの小道)である。デージーパスはその名の通り、小道一面踏んで歩くほどデージーの花で一杯になる。

  なにを気どってデージーパスなど、あちゃら風の名前をつけたかというと、ここに来る前に訪れたイギリス湖水地方の散策路(林や牧草地を保護するために作られた人間専用の小道)をフットパスと呼んでいたので、わが家の小道もパスとしゃれてみた。

  湖水地方はイギリスのほぼ中央西よりに位置し、絵本やかわいいグッズに関心のある方はご存知の世界のアイドル、ピーターラビットの生みの親、ベアトリック・ポッターが暮らしていた小さな家が今も残るヒルトップがある。

  その辺りはウインダーミア湖を中心に多くの湖が点在する自然豊かな牧草地帯で、イングランドの古き田園地帯がそのまま残り、ナショナルトラスト(19世紀末イギリスで起こった歴史的建造物・自然環境保護活動)発祥の地でもある。

  いわゆる自然保護や歴史的建造物保存運動はヨーロッパから起こったが、それはヨーロッパの人々が特別環境問題に歴史的に早くから敏感だったわけではない。その反対に、ヨーロッパこそ環境破壊の最先端を行った地であったからである。

  12、13世紀ごろ盛んに建てられ繊細な美を極めたゴチック様式の教会のステンドグラスグラス1平方b作るのに50平方bの森を焼き、大航海時代の始まり15世紀には、既に大型船の建材、マスト用の巨木は切り尽くされ、船を建造する木材まで新大陸に求めるしかなかった。

  ヨーロッパの自然破壊は早く、歴史的建造物、街並みは2度の世界大戦で破壊し尽くされたからこそ、自然環境や歴史的建造物への復興への思いは早くから沸きあがってきたのだろう。旅すると、今も崩れ去った教会の石を一つ一つ積み上げる姿に出会う。

  いずれにしても、日本や欧米は、乱開発、都市化には歯止めがかかるだろう。またその力もなくなった。これからはBRICsの時代である。あの大所帯広大な大地が切り開かれ都市化していくのを考えればゾッとするが、発展への大道を妨げるものは何もない。

  さて、これから日本社会は、貧しくも豊かな暮らしへの道をしっかり歩んでいくしかない。しかし、そのことに薄々気づきながらも、いまだ繁栄を、より高度化する文明を夢をみているのが現実である。昨日2d車で丸太が届いた。循環社会への小さな道である。

  (丸山暁建築・空間工房、大迫・外川目在住)

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