2010年 5月 4日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉95 及川彩子 国際音楽コンクール

     
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  私の住むベネト州の南の町レニャーゴで、この4月末「第1回アントニオ・サリエリ賞・青少年国際音楽コンクール」が開かれました。

  レニャーゴは、18世紀の大作曲家アントニオ・サリエリの故郷。アジアゴから車で2時間、人口3万人ほどの小さな町です。

  コンクールはピアノ、バイオリン、フルートなどの独奏が10部門、ほかに室内楽などが年齢別に行われるため期間は2週間。本選はサリエリ劇場ですが、予選は美術館の踊り場などを利用した小ホールで、繰り広げられました〔写真〕。

  参加費は、5千円程度ですが、6・7歳の年少部門でも、優勝者には約8万円の奨学金、ほかにリサイタルを主催してくれるので、国内外から数百人が参加したと聞きました。

  練習用に開放された公園や学校の窓から聴こえるさまざまなメロディー。「いろんな国の子どもの演奏を一度に聴ける企画には驚きだよ」。そんな町の声が聞かれました。

  「イタリアの音楽」と言うと、ミラノのスカラ座、オペラ発祥の地フィレンツエなどが中心と思われがちですが、ベネト州はピアノを発明したクリストフォリの郷里。バイオリンの名器ストラディバリウスの工房も近くにあり、昔から音楽家をはぐくんできました。

  サリエリは子どものころから才能を発揮し、後にウィーンに招かれて大成功。ベートーベンやリストも彼の教えを受けました。

  それが後、ウィーンの宮廷楽長を独占したと恨まれ、モーツァルトも「自分の地位が低いのは、サリエリが邪魔するからだ」と書き残しています。モーツァルトの一生を描いた映画「アマデウス」でも、モーツァルトの毒殺者と疑いを掛けられているほどです。

  そんな不運な老後でしたが、弟子からは一切謝礼を取らず、慈善活動にも熱心だったというサリエリ。その意思を継いで始められたのが今回の国際コンクール。ここから多くの音楽家たちが羽ばたいていくことでしょう。

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