2010年 5月 4日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉254 八木淳一郎 すばらしい星空だった

 今年3回目を迎えた盛岡星まつり。4月24日と25日の2日間の予定でしたが、あいにく2日目の25日は夕方まで晴れていたものの、その後急激に空模様が悪化して中止となってしまいました。しかしその分を取り戻してもまだおつりがくるくらいに初日は好天に恵まれ、観光で盛岡を訪れた人たちを含め、たくさんの人が遅くまで盛岡の星空を堪能しました。

  星を見る場合の好天とは、単に雲がないというだけでは十分ではなく、大気の透明度あるいは清澄度というものが高くなくてはいけません。

  それによって肉眼で星空をながめた時、微光星すなわち少しでも暗くかすかな光の星まで見えるかどうか、ということがポイントです。

  車の排気ガスや大きなビルからでる排煙などが上空に漂っているところに盛岡の街の光が反射したり散乱したりして夜空全体がボーっと、あるいはモヤーっとなっていますと、はるばる旅してきた小さな星や銀河の光が埋もれてしまいます。

  空が暗ければ6等星まで見えるものが、3等星なり4等星なりまでしか見えなくなって星数は極端に少なくなってしまいます。

  そこで、ライトアップをやめたりして夜の照明を最小限にし、街灯なども傘のデザインによって上方に光が逃げない工夫をすることで、盛岡が他所に誇れる自然|その自然の一員である星空にわたしたち一人一人が関心を持ち、子どもたちと未来の世代に自然を残していこう|そういった思いを込めたものが盛岡星まつりのイベントです。

  さて、もう一つ星空を見るときの好天の条件は大気が安定していることです。望遠鏡でのぞいた月や惑星の姿が、例えどんなに晴れていたとしても、気流が激しくてはゆらゆらと動いてしまい、天体の表面の模様を観察することができません。

  はなはだしい場合は惑星像の輪郭などもギザギザと毛羽立ったようになります。天体観測の分野ではこういった条件をシーイングと呼んでいますが、このシーイングを悪化させる原因は必ずしも上層の大気の状態だけではありません。

  高いビルや小高い山、大きな池などがあると、気流の激しい流れや上昇気流が発生して局地的にシーイングが悪化する恐れがあります。

  ところで、この局地的な気流の乱れは、もっと身近なところでは、実は反射式の望遠鏡の筒の中にも存在するのでやっかいです。理論上は口径の大きな望遠鏡ほど良く見えることになっていますが、実際にはこうしたことでなかなか理論通りにはいかず、それも大きな望遠鏡ほど筒の中に発生する気流の影響が大きいのです。

  全国にはたくさんの公共天文台がありますが、自治体同士で口径の大きさを競う風潮があり、これはあまり歓迎すべきことではありません。

  気流の安定した、そして多くの人、多くの子どもたちが気軽に何度でも利用する場所を選ぶこと。そして本当に良く見える望遠鏡を選ぶこと。

  これらをしっかり踏まえることで、盛岡市民天文台ができたあかつきには、国内で最高に良く見える天文台となることも夢ではありません。

(盛岡天文同好会会員)

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