2010年 5月 11日 (火)

       

■ 〈芸能ばんざい〉21 飯坂真紀 山岸さんさ踊り

     
   
     
  5月9日昼。きょうはお祭りだからちょっとぜいたくに鮨ランチにしよう。すし屋さんのいすに座わり、さて目は握りを追っているが、その実、耳は外に向きっぱなし。やがてかすかに響いてくるさんさ太鼓の音…。

  来たっ!急いで残りの鮨を口に押し込み、「そんな慌てなくても大丈夫」と笑われながら外へ飛び出していく。

  盛岡市山岸の岩谷稲荷のお祭りでは、ご当地の山岸さんさ踊り連中が町内一帯を歩くのだ。当日はお宮へ上って踊りを一通り奉納し、降りてきて社務所や住宅や商店の前で踊る。家の人、道行く人が笑顔で見守る雰囲気がいい。昔からの行事だというが、今や盛岡ではほとんど見られなくなった風物詩である。

  山岸の通りは、かつて野田街道と呼ばれ「塩の道」として沿岸と盛岡を結ぶ重要な幹線道路だった。山岸さんさ踊りは藩政期にその端を発し、昭和51年に保存会を結成して今に至っている。21世紀の道を行き交う車のせわしさと、昔に変わらないのどかな門付けが同居する光景には、時間の流れを飛び越すような一種の痛快さがある。コンビニの駐車場に赤いボタンの花笠が揺れるふしぎなコントラストを見てください。

  もう一つ。お盆の8月15日に市内北山の清養院に行くと山岸さんさに会えるのをご存じだろうか。「先祖供養を大切にしたい」という趣旨から、墓前で踊った後、境内で輪踊りをするならわしになっているのも貴重である。

  山岸さんさは、このように地元とのふれあいを大切にする一方で、8月の盛岡さんさをはじめさまざまな祭りやイベントに出演し、首都圏はては海外公演までこなす幅広い活動を続けている。

  岩谷稲荷神社祭礼の日、すし屋の前で踊る山岸さんさ踊りは、ご主人と女将さんが見守る中、扇を開いて華やかに踊り納めた。

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  【山岸さんさ踊りの主な予定】 チャグチャグ馬コ6月第2土、盆舞法要8月15日、盛岡さんさ踊り8月1日〜4日ほか。


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