2010年 5月 19日 (水)

       

■ 〈過ぎ去り日〜北上山地に生きた人々〉3 老夫婦 横澤隆雄

     
  昭和60年ころ、川井村箱石(現宮古市箱石)にて撮影  
 
昭和60年ころ、川井村箱石(現宮古市箱石)にて撮影
 
  少し気難しくて有名なおじいさんと、物静かなおばあさん。

  気難しいと言うわりに、わたしにはよく写真を撮らせてくれました。

  相手がどんな性格の人であれ、人物の写真を撮る場合は、写真の腕前よりもコミュニケーション力の方が要求されるように思います。

  いきなりカメラを向けることはせず、自分が何者であるかを理解してもらった上で遠目に写真を撮らせてもらい、次に行くときはその写真を持参し、また写真を撮らせてもらう。

  そんなことを繰り返しているうちに、カメラと老夫婦の距離が徐々に近づいていき、自然な笑顔を見せてくれるようになりました。

  この桜はしだれ桜で、毎年見事な花を咲かせるのですが、花の時期が短いため満開の桜を見ることができるのは半日くらいのものです。

  「桜の写真を撮らせて下さい」

  「おじいさんとおばあさんの記念写真も撮りたいのですが」

  「おばあさんの肩に手を回してみてくれませんか」

  怒られることを覚悟で、撮影者の要求はエスカレートしていくのですが、一度も怒られたことなどありませんでした。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします