2010年 5月 20日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉309 岩橋淳 りんごろうくんのもりあるき

     
   
     
  朝食を済ませると、男の子とおとうさんは、おやつと水筒を手に、森へとでかけます。

  明るい日差しの中を進み、やがて高い木々のそびえ立つ森の中に足を踏み入れると、そこは薄暗く、湿った世界。通りがかった木のうろでさえも気味悪く見えてしまう、男の子。

  道はやがて谷間へ。小川のきれいな流れにも臆して近づけない彼、りんごろうくんに、森へと誘ったおとうさんは、森で一番大きなユーカリの木を見せます。この木も、大昔は、りんごろうみたいにちっちゃかったんだろうねぇ……。

  りんごろうくんにはまだ高すぎる倒木のベンチも、おとうさんが切り開いてくれる藪も、そしてその先に見つけた、クロイチゴの実も。ひとりの男の子がやがて少年となり、いずれは自ら森へと分け入ってゆく、そんな道程を指し示しているかのようです。

  二人の道行きは、やがて一転、ワラビー、オウム、エキドゥナ(ハリネズミ)など、めずらかな動物たちの登場が続きます。そう、ここはオーストラリア。そしてメルボルン在住の作者・渡辺鉄太氏は児童文学者・翻訳家の(故)渡辺茂男氏の、そして作画家・中川画太氏は『ぐりとぐら』中川李枝子氏の令息(しかも両人は幼なじみ!)でもあるのです。

  森という小宇宙、小さな冒険を通じて、わが子に伝えておきたいこと。父の思いは深く、はるかに。

 【今週の絵本】『りんごろうくんの もりあるき』わたなべ てつた/作、なかがわ かくた/訳、アリス館/刊、1470円(2008年)。



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