2010年 6月 1日 (火)       

■ 〈夜空に夢見るめぐり〉256 八木淳一郎 岩手高原での星空めぐり

     
  「M5球状星団」へび座にあり5.7等級、2.6万光年離れている。5月15日21時30分ころ、ペンション「フィールドノート」前で撮影。200o反射望遠鏡、露出420秒、ISO800、赤道儀にて自動追跡。橋浩さん撮影。  
 
「M5球状星団」へび座にあり5.7等級、2.6万光年離れている。5月15日21時30分ころ、ペンション「フィールドノート」前で撮影。200o反射望遠鏡、露出420秒、ISO800、赤道儀にて自動追跡。
橋浩さん撮影。
 
  その日、山の空気はまだまだ冷たく、天気予報も決して良い訳ではありませんでした。しかし悪天候続きの折から、少しでも希望が持てそうならばと、山の寒さもものかは、それっとばかりに大勢の星好き人間たちが岩手高原に集まったのでした。

  5月半ばの土曜の午後6時過ぎのことでした。日が長くなってきていますから集合時刻の空はまだ明るく、しかも、あいにく雲が空の半分以上を占めています。それでも、暗くなるころはきっと満天の星空が現れる、と信じて疑わない総勢15名。小学生、新人、ベテランがルンルン気分で思い思いに望遠鏡の準備を始めました。

  いつもお世話になっているペンションの広い庭に、望遠鏡の砲列が組み上がっていきます。数が多いばかりではありません。せっかく暗い空で星を見るのだからと、皆はりきって移動の限界に近い大きな望遠鏡を車に積んできたのでした。

  中には普通ならばコンクリートの台座にがっちり据え付ける何十`もの重さのものさえあります。あとになって、この日、この望遠鏡で撮影したというはるか遠い銀河の見事な写真を見せられて、ええっいつの間に?!と熟練した技と軽快なフットワークにびっくりです。

  暗い空と大きな望遠鏡で見る星雲や星団、銀河の姿の美しさや感動は、図鑑などで見るものとは到底違います。無数の微かな星がちりばめられた視野の中に、今のいま、数万、数千万光年を旅してきて着いたばかりの光を見ているのですから。

  それを目にしている私たちは、誰も彼もみな小さな存在です。けれども、地球の上に生まれて、今こうして生きていればこそ、私たちも宇宙の一員であることを星の光に教えてもらえるのでしょう。

  見渡せばいつの間にか雲はすっかり消えて、望んでいた満天の星空が広がっているではありませんか。あちこちの望遠鏡のまわりで時折あがる小さな感嘆の声と望遠鏡を駆動するモーターの音が、深まる張るの宵空に滲みいっていきます。

  球状星団、散開星団、惑星状星団、おとめ座やしし座の銀河団などとの交歓が夜更けまで繰り広げられたのでした。
(盛岡天文同好会会員)

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