2010年 6月 4日 (金)       

■ 今年はクマにご用心 天候不順で活動期重なる

     
  クマとの遭遇回避のために対策が必要と話す藤村正樹さん  
  クマとの遭遇回避のために対策が必要と話す藤村正樹さん  
  タケノコなど山菜採りで山に入る機会が多くなるこの時期、クマと遭遇する危険も増える。先月22日には滝沢村で釣りに来ていた男性がクマに襲われるなど、県内でも人身事故が既に発生している。野生動物被害防除機器を扱う盛岡市手代森のアウトバック代表取締役で県ツキノワグマ研究会事務局長も務める藤村正樹さん(52)にクマとの遭遇の回避や襲われたときの対処方法などについて聞いた。

 本県は全国的に見ても長野県と並んでクマの事故が多く、例年10人前後が人身事故に遭っている。今年は5月末現在で既に4、5人が事故に遭っていることから、藤村さんは「かなりの人数が人身事故に遭う可能性が高い」と予想する。

  今年は春先の低温が続いたため、山菜の伸びや渓流の魚の活性が遅れている。そのため例年は4、5月に分散していた入山者が気温の高くなった5月に集中した。冬眠中に出産するクマの子が、ようやく自力で歩き回れる大きさに成長するのが5月。子グマを連れた親は警戒心が強く、いざとなったら自分の身を挺(てい)して向かってくる。今の時期に事故が多いのはそうしたクマの事情もあるという。

  クマと遭遇するケースは生息地に人が行く場合、人里や市街地などにクマが出没する場合がある。春先は山菜採りや渓流釣り、キャンプなどで人がクマの生息地に行く機会が多くなる。藤村さんは「クマがいるところにわざわざ行くのだから、人間の側にそれなりの準備がなければ事故につながる」と指摘する。

  鈴や笛など何か音を出しながら自分の存在をクマにアピールして遭遇の可能性をなるべく減らすことが最も初歩的な対策になる。ラジオなどでもいいが、山の中では電波が入らない場所もある。最近は携帯音楽プレーヤーなどで自分の好きな音楽を流す方法もクマよけの一つになっているという。

  万が一クマと遭遇した場合は、とにかく襲われないように、最終段階には仮に襲われても殺されないようにすることが必要になる。「これをやれば100%大丈夫ということはないが、冷静になるということ。パニックを起こして急に走り出したり、大声を出したりして相手を刺激した場合はかえって襲われる可能性が高くなる」という。

  藤村さんの知るヒグマと遭遇して助かった人の話では、夫婦で山菜採りに出掛け傾斜地で下のササやぶから子連れのヒグマが出てきた。ふた冬を越した子どもの大きさは親グマとほとんど変わらず、毛を逆立てた茶色い大きな固まりが突進してきた。

  そのときは奥さんの方が下にいたため、だんなさんが大きな声を出してクマの関心を自分の方に向けた。向かってきたクマに3bほどの距離で携帯していたクマよけスプレーを噴射して撃退した。スプレーを持っていれば絶対に安全ということはないが万全の装備をしておくことで緊急事態でも冷静に行動でき、安心感につながる。

  今年は3カ月予報で見ると夏の気温が例年より低くなる確率が高い。冷夏になるとドングリやクリなど山の木の実も不作あるいは凶作の可能性が出てくる。藤村さんは「クマが人里の方に下りてきて畑を荒らしたり、出会い頭に人を襲う事故が増える可能性がこれまでのデータからして大変高い。今年はかなり注意した方がいい年になると思う」と注意を呼びかける。

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