2010年 6月 15日 (火)       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉98 及川彩子 手振りあれこれ

     
   
     
  ここアジアゴの少年サッカーチームが、地域の大会で優勝したのでVサインを送ったら、「何の意味?」と聞かれ、思わず戸惑ってしまいました。

  聞くと、ヨーロッパでは、V字を自分の方に向けると「勝手にしろ!」という意味なのだそうです。世界共通と思い込んでいた「勝利」のVサインですが、手の向け方によって「侮辱」を意味するとは…。

  このVサインは、100年戦争が起源。フランスの兵士が、捕虜のイギリス人に「人差指と中指を切り落とすぞ」と威嚇したところ、イギリス人兵士が2本指のV字を突き出し、「やれるならやって見ろ」と、やり返したのが始まりと言われます。

  表情豊かなヨーロッパ人の中でも、身振り手ぶりの会話が最も得意と言われるイタリア人。路上の立ち話にも、さまざまな手の動きが加わり、遠くから見ると、まるでパントマイムのような光景に出会うことも珍しくありません。

  イタリアに住んで、最初に覚えたしぐさが「了解」でした。親指を立てて手を握り、相手に見せるのです。その親指を自分の口に向けると「ワインでも飲もう」という誘いのサインです。

  人差指をほおに当て、ぐりぐり捻(ねじ)ると「おいしい!」の意味〔写真〕。親指を鼻に当てるのは、相手をバカにするしぐさ。こぶしを頭のそばで振ると「脳が小さく、頭の中でガタガタしている」と相手を非難する意味になります。

  手振りばかりでなく、会話のリズムに合わせて腕を振り、時に指先で言葉にアクセントを付けながら会話をするイタリア人。言葉以上のものを伝えようという、オペラ発祥の地ならではの表現なのかも知れません。

  ちなみにドイツでは、ほおを捻るしぐさは「気狂い」の意味。国境を越えると意味の異なる身振り手振り。そのルーツに垣間見られる文化の違いは、とても興味深いものです。


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