2010年 6月 27日 (日)

       

■ 〈早池峰の12カ月〉51 丸山暁 何事にも始まりがある

     
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  この時期ハーブが花盛り。ハーブの多くは有用植物(お茶にしたり香りを楽しんだり料理に使ったり)として注目されているが、花がこれまたいい。それぞれハーブ固有の香りがして、観賞用の花とはまた違ったかわいさ、美しさがある。

  わが家では、畑や花壇以外はいずれ繁茂する雑草の代わりに、ハーブを植えている。

  今から25年前、僕が銀座で絵の個展をやった時、上司の奥さんがハーブの花束を持ってきてくれ、その花束を花瓶に生けているうちに、ミントが根を出し、それを練馬の猫の額程の庭に植えたのが、わが家のハーブ栽培の始まりである。

  ではなぜ彼女がハーブを持ってきてくれたかというと、彼女も絵を描き、彼女が青山で個展をやった時、僕が花束を持っていったからである。ここに一つの因果関係がある。

  では、なぜ僕が個展をやるようになったかは、絵描きの夢が捨てきれず「わだばゴッホになる(棟方志向の言葉)」と、ゴッホが南仏に行ったのにあやかり、日本の南にある熊本大学(なぜ鹿児島大や琉球大でなかった?)に進学したが、力尽き?僕と同じ埼大に再入学してきた友人との出会いにある。

  卒業数年後、彼とガード下の焼き鳥屋で一杯引っかけている時「このままただのサラリーマンになったのでは人生つまらない、何かをやろう」ということで、「2人とも絵が好きなら銀座で展覧会をやろう」ということになり、僕の絵描き人生が始まり30年が経った。

  僕が描くことが好きだったのは、絵をよく描いた母の影響かもしれない。これも因果。

  さてそうやって、わが家のハーブをたどれば絵から始まって、僕の誕生にまでたどり着き、もっとたど
れば母の人生、誕生、そしてその先もたどれるはずである。これまた因果。

  実は僕たち、この世の出来事はすべて、宇宙の始まりからの因果関係で成り立ち、この世で起こる事はすべて、玉突きのように因果関係で起きているとする哲学論もある。

  個展をやると「良くこんなに描けますね、絵は好きだけど私にはとても無理」という御仁によく出会う。そんな時「3年描けば好きになり、10年描き続ければ物になる。まず始めること。描く前から描けないなんて言いなさんな」と答えることにしている。

  世の中因果関係と言ったって、始めるのも続けるもやめるのも、それは人間の意志、生きる意味、因果関係では語り尽くせないのがこの世である。何事も始まりがあり、やるもやらないも自由。わが家のハーブ園も18年目、小さいながら自慢の花園となった。

  (丸山暁建築・空間工房、大迫・外川目在住)

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