2010年 6月 29日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉258 八木淳一郎 初夏の星空探訪

     
  袖山高原の南の空に浮かぶ星座(6月6日午後8時30分)  
 
袖山高原の南の空に浮かぶ星座(6月6日午後8時30分)
 
  6月21日に夏至を迎えたばかりですから、今時分の日没は午後7時を過ぎたあたりです。そして外がすっかり暗くなるのは、時計の針が8時近くにきたころでしょう。一番星の宵の明星、金星はまだ空に青みが残っているうちに輝き始めます。それもそのはず、明るさがマイナス4等級で1等星の百倍も明るいからです。西の地平線からおよそ30度、握り挙3つ分の高さに見つけることができます。もっとも、南昌山のふもと近くなどに住んでいる方は山の稜線(りょうせん)ぎりぎりだったり、あるいは山に隠れて見ることができないかもしれません。

  しかし一方、そういう盛岡市内の中心部よりも西側にあって少し標高の高いところでは、逆に東側や南側の視界がひらけていることになり、これは季節の星空を先取りできる点で優っています。

  夜のとばりが降りたころ、七夕まつりが待ちきれないといった様子で、東の空に夏の大三角を形作ること座のベガ(織り姫星)、わし座のアルタイル(彦星)、はくちょう座のデネブが見えています。南東の空、やや低い位置にさそり座が横たわっています。視界が良ければ、釣り針のような大きなS字形のカーブを描いているのがわかり、実に雄大な見事な形の星座との印象を持つに違いありません。そのスケールは冬のオリオンと比肩できるものです。その上、ギリシャ神話でのオリオンとさそりの間柄を知っていると、一層興味深く眺めることができるかもしれません。

  さそりと夏の大三角の間あたりには、将棋の駒を大きくしたようなへびつかい座とH形をしたヘルクレス座があります。この辺りを境に、すぐ西隣にあるかんむり座やうしかい座など春の星座から夏の星空への衣替え、といったイメージです。時間がたつにつれて地平低くにはいて座を目にするようになります。北斗七星を小さくしたような形で、その名もナント!南斗六星と呼ばれます。いて座全体の形からはティーポットのニックネームがあり、なるほどじっと見ていると紅茶の香りがしてくるようです。

  寒い季節にぶるぶると震えながら見るのと違って、夏の星空探訪は夕涼み風情でじっくりと楽しむことができましょう。ただ、虫刺されにはくれぐれもご注意を。
(盛岡天文同好会会員)

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