2010年 6月 29日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉99 及川彩子 エディコラのある町

     
   
     
  イタリアに住んで十数年、何の不自由もない暮らしですが、あえて「不便なこと」と言えば、気軽に立ち寄れる本屋が少ないこと。コンビニのような店にも雑誌などはなく、立ち読みする姿は見られません。

  イタリアの書店に並ぶ本は、蔵書にしておきたくなるようなハードカバーが主流。絵本なども素敵なデザインで、これがズラリと並び、眺めているだけで楽しくなります。

  今はコンピューターですべてを知る時代。でも、私たち日本人にとって、気軽に週刊誌を読んだり、安値な文庫本の買い漁りができないのは寂しいものです。

  そんなイタリアに欠かせないのが、エディコラと呼ばれる街角の「新聞屋」。小さな店の店頭に、その日の新聞や週刊誌がズラリ。新聞配達の習慣がないイタリアでは、通勤途中などに、立ち寄って新聞を買い求めるのです。折り込み広告などはなく、1部300円ほど。中央紙になると20〜30nと分厚く、ニュースから各国の情報まで、かなり読み応えがありそうです。

  朝の散歩でエディコラに立ち寄り、新聞を買い、バール(喫茶店)でカフェを飲みながら読む老人たちの姿は、どの町でも見られます。

  近所にエディコラがない町には、新聞郵送システムがありますが、天候などで数日遅れは当たり前。そんなことに腹を立てないイタリア人は、日本人ほど「活字好き」でないことも確かなようです。

  私たち家族が利用するエディコラは、アジアゴの隣町ガリオ〔写真〕。人口8
千人の町唯一の店とあって、新聞・雑誌のほか、学用品、土産物まで扱う何でも屋。狭い店内に商品が重なり合う昔のままの店舗です。

  「新聞の売り上げ収入なんてゼロに等しいよ。だけど、毎朝買いに来る人の様子で、その日のことが分かるねえ」という主人のドメニコさんは4代目。情報提供の場を守る笑顔に町の底力を感じるのです。

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