2010年 6月 30日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉横澤隆雄 老夫婦

     
   
     
  同じ集落の中で、よく写真を撮らせてくれた直さん夫婦はたばこの大好きな老夫婦でした。
  家が近かったこともあり頻繁に通っては写真を撮らせてもらいました。外で作業をしているところにお邪魔してカメラを向けると「まず、休め〜」と言って、二人は作業の手を休めてお茶を入れてくれました。

  お茶を入れてくれるのはいつもおじいさんの仕事です。お茶を飲みながらおばあさんとの世間話が盛り上がったころ、おじいさんは絶妙のタイミングでよく冷えた小瓶入りの栄養剤を差し出してくれるものでした。

  二人がたばこを吸うときにライターを使って火をつけるのはどちらか一人だけ、その後お互いにくわえたたばこの先を合わせて火を移します。そのタイミングがまた絶妙で、さすがは何十年共に歩んできた二人なのだと感じさせられました。

  お茶を飲み、世間話をしているとそのまま時間が過ぎて行き、写真にならないこともよくありました。そんな調子で、普段の生活の中に入り込みながら写真を撮らせてもらっていたので、撮りためたフィルムの中にはいつも普段と変わりのない二人がいます。


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