2010年 7月 13日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉100 及川彩子 夏は冬支度の季節

     
   
     
  6月の第1週で学校は終わり、新学期が始まるのは9月。それまでの3カ月間、クラブ活動も子ども会もないイタリアの子どもたちは、それぞれの家庭で思い思いに過ごします。

  梅雨のない、この国の夏の平均気温は35度。8月に入ると、工場などは閉鎖され、都会の人々は海へ山へ。バカンス休暇は平均3週間と言われます。

  反面、避暑地として知られる、ここ高原の街アジアゴは大にぎわい。別荘やホテルに滞在し、アルプス散策などを楽しむのです。

  そんなバカンスを前に、アジアゴで一番忙しいと言われるのが、森林組合の人たち。通称「森の番人」。この時期、どの家庭でも暖炉のまきを購入するので、早朝からトラックで奔走、森で切り割りしたまきを届けるのです。

  町を歩くと、家の軒下や裏庭などでまき積みを手伝う子どもたちの姿を見かけます。これから冬までの数カ月間、乾燥させるので
す。

  観光地を意識してか、どの家でも雑然と積むのではなく、モザイク模様、波型と、積み方にも美のこだわりが見られます。

  雪が溶けると、森林整備のため木を伐り出す組合の人々。アジアゴ市民には、丸太のままなら格安で購入できる特権がありますが、自分でまき割りをしなければなりません。

  30aほどの長さに切りそろえたまきは割高ですが、まきストーブにも便利。イタリアの家庭に石油ストーブは、ほとんどありません。

  先日、わが家のガレージに到着したまきは1・5d〔写真〕。値段は約3万円。秋から春先まで、毎晩20本ほど燃やす計算ですが、アジアゴの家庭の平均購入は約5d。

  毎年、わが家に運んでくれるアントニオさんの口癖は「森からお中元ですよ」。小さいころから、アルプスの森の番人になるのが夢だったそうです。

  長い冬を乗り切る暖炉の火は、アルプスの森のエネルギー。夏の冬支度も、アジアゴ高原の風物詩のひとつなのです。

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