2010年 7月 14日 (水)

       

■ だ液で分かる履き心地 岩手大学の山口教授らストレス少ないおむつを研究

     
  だ液を分析してストレスを数値化する研究を進める山口昌樹教授。写真はアミラーゼの測定器。  
 
だ液を分析してストレスを数値化する
研究を進める山口昌樹教授。
写真はアミラーゼの測定器。
 
  岩手大工学部機械システム工学科の山口昌樹教授(47)らとユニ・チャーム生活科学研究所(香川県観音寺市)は、人がストレスを感じると分泌量が増える、だ液中のアミラーゼを測定し、赤ちゃんにストレスの少ないおむつの開発に取り組んでいる。最近の研究で、赤ちゃん自身がおむつのはき心地の違いを識別していることをアミラーゼの分泌量の変化から明らかにした。研究成果は先月、東京で開催された第10回日本赤ちゃん学会で報告された。

  だ液中のアミラーゼはデンプンを糖に変える消化酵素の一種。ストレス(刺激)を受け、交感神経が興奮状態になるほど分泌量が増え、その人が感じたストレスの強さの目安になる。

  実験では生後8〜11カ月の男女の赤ちゃん14人のだ液中のアミラーゼを測定。おむつを脱いでいる状態と、一般に市販されているおむつ、胴回り部分をより柔らかい布で作ったおむつをはいた状態を比較した結果、市販品では脱いでいる状態よりアミラーゼの濃度が高く、柔らかい布のおむつではアミラーゼ濃度が低下し、よりリラックスした状態にあることが分かった。

  山口教授はだ液中に含まれるアミラーゼ濃度を簡単に分析できる測定器を開発、実用化。同社とは4年前から共同研究を始めた。研究グループは、母親の表情の変化で赤ちゃんに刺激を与える実験で、赤ちゃんのだ液中のアミラーゼも大人と同じように、ストレスと相関性があることを明らかにしている。

  「言葉で説明できない赤ちゃんのストレスは、養育者が表情などから感じ取る主観的な評価しかなかったが、アミラーゼの測定では客観的な評価が可能。赤ちゃんにとってより良い発達をうながすような製品開発につなげたい」と山口教授。

  同社グローバル開発本部生活科学研究所の丹下明子マネージャーは「赤ちゃんの意見をじかに聞きたいという思いがあった。余計な刺激のない、はき心地の良い製品を目指したい」と話す。

  山口教授によると、アミラーゼは一時的なストレスを観察するのに適した指標。慢性的なストレスなど、より複雑な体への影響を表現できる指標や測定器の開発も進めたいという。

  「だ液検査は簡単で、体を傷つけることなく、ひんぱんに行える利点がある。赤ちゃんや高齢者、精神疾患のある人など、言葉で表現できない人のストレスを数値化することは、日常の生活支援の改善や疾患の診断に役立つ」と意欲を燃やす。

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