2010年 7月 27日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉101 及川彩子 手作りカーテンの店

     
   
     
  イタリア人は、物作りに向いていると言われます。大企業や大型店よりも、中小企業や小売店の方が元気なイタリア経済。世界流行の最先端を支えているのは、昔ながらの職人気質、
個性を生かした独自性です。

  ここアジアゴにも、小さな「ボッテガ」がたくさんあります。「ボッテガ」は、工房のこと。フランス語の「ブティック」です。日本でも人気の色彩豊かなTシャツブランド「ベネトン」も、ここベネト州の小さなボッテガから発信したものです。

  アジアゴで特に評判のボッテガは「アドリアーナ・カーテン」。オーナーは、女主人のアドリアーナさん70歳。注文に応じて、デザインするオリジナル・カーテンの専門店です。家具選びと同じように、イタリア人の家の空間演出に、カーテンは欠かせないのです。

  先日、アジアゴ郊外の森の中にあるボッテガを訪ねると、2人の娘さんも手伝って、3台のミシンがフル回転していました〔写真〕。特に夏は、別荘を持つ人たちの部屋の模様替えなどのため、注文が絶えないのだそうです。

  アドリアーナさんが、マットレス職人のお父さんに、裁縫の手ほどきを受けたのは、50年代の学生時代。当時、マットレスのほとんどが、羊毛を使った手作りで、1台のベッドに必要な羊毛は約13`。これを手縫いで仕上げるのです。

  学校を出た後、父の仕事を継いだのですが、人工綿のマットが主流になったため、カーテンの分野を独自のアイデアで開拓したのだそうです。

  マットレス作りで培った「使いやすさ」を追求し、部屋に応じた素材を選び、デザインして、縫い上げるカーテンは、ロール式やパネル型など種類もさまざま。襞の具合まで計算し尽くされているのです。

  「いつか日本の畳の間に合ったデザインをしてみたいわ」。アドリアーナさんの夢は、カーテンの向こうに広がっていました。

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