盛岡タイムス Web News 2010年 10月 5日 (火)       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉265 八木淳一郎 望遠鏡教室その3

     
  遠野盆地を埋め尽くした月夜の雲海の上に躍り出たオリオン。正面、六角牛山の山際にある光点はシリウス(10月2日)  
 
遠野盆地を埋め尽くした月夜の雲海の上に躍り出たオリオン。正面、六角牛山の山際にある光点はシリウス(10月2日)
 
  望遠鏡には大別して、レンズを使った屈折望遠鏡とミラーを用いた反射望遠鏡があり、両者をミックスしたようなカタディオプトリックというものもあります。反射望遠鏡にはニュートン式やカセグレン式、カタディオプトプリックにはシュミットカセグレン、マクストフなどの種類があります。反射、屈折、カタディオプトリックのいずれもおのおの長所と短所がありますが、望遠鏡の光学性能すなわち能力はそういった光学形式の違いにかかわらず、分解能、集光力、極限等級の3つで表します。倍率は性能とは別物ですが、望遠鏡の口径によって有効な倍率が制限されますし、何でも高い倍率が良い訳ではなくあえて低い倍率を用いる場合も少なくありません。高い倍率は惑星、ことにも火星観測で効果的です。二重星の観察で、非常に接近した二つの星を見分ける場合も高い倍率を使用することがあります。彗星や銀河や星雲、星団などのように淡くて広がりをもった対象には低めや中ぐらいの倍率が適しています。

  さて望遠鏡の能力の一つである分解能とは、接近した2点を2点として見分けられるかどうかを示すものであり、口径が大きくなるに従って、より接近したものを見分けられる力があります。集光力は書いて字のごとく光を集める力のことで、具体的には淡い星雲や銀河、彗星などを見る場合にこれらをより明るく鮮明に見るために重要です。肉眼(瞳孔の直径7_)に対する望遠鏡のレンズの面積に比例して集光力は増してきます。例えば口径70_の望遠鏡では瞳孔との面積比は100であり、光を集める力が肉眼の百倍あるということになります。口径500_の望遠鏡では集光力は5102となります。

  最後に極限等級についてです。これは集光力とも関係してきますが、星は肉眼では6等星まで見えますが、星の明るさは1等級変われば2・5倍達います。望遠鏡の集光力が百になりますとさらに5等級ほど暗い星が見えることになり、口径70_の望遠鏡では11等星が確認できることになる訳です。口径700_ならば16等級が極限等級です。暗い星ほどその数は等比級数的に増加しますので、観測できる星の数は口径の大きな望遠鏡では飛躍的に増えるのです。

  このように望遠鏡は口径がいかに大事であるかがわかります。星を見る会などで望遠鏡を前にしたとき、この望遠鏡は何倍かではなく、まずは口径何センチ(あるいはインチ)か?とご質問ください。実際に月などのぞいてみながらその時にこそ、今は何倍を掛けているのかと質問されれば完ぺきです。
(盛岡天文同好会会員)

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