盛岡タイムス Web News 2010年 10月 6日 (水)       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉23 釜のある家 横澤隆雄

     
  昭和60年ころ、横沢集落にて  
 
昭和60年ころ、横沢集落にて
 
  昔、集落の各家には必ずといっていいほど釜がありました。「土釜(どがま)」、「豆腐釜」、「やだ釜」、などいろいろな呼び名で呼ばれる大きな釜です。

  土釜という呼び名は釜を築く時の材料に土を使っているためで、豆腐釜は豆腐を作るときの呼び名、やだ釜は牛の餌を煮るために使うときの呼び名です。

  私の実家にも当然のごとく釜があり、古い曲がり家の時代には家の中の土間に据え付けられていたのですが、現在の家になったとき母屋とは離れた牛舎の中に移されました。

  牛を飼っていた時代には牛の餌を煮るために大活躍し、その合間に母親はこの釜を使って手作りの豆腐を作っていました。みそを作る時期には材料の大豆を煮る釜、山菜のフキを煮る季節には長いフキを切ることなしに煮ることができる釜と、用途によって都合よく使い分けられ今もなお健在です。

  燃料はもちろんまきですが、どんな用途のときでも、釜に火が入ると周りには人が集まり笑い声が響いてきます。釜には人を引き付ける力があるのかもしれません。
(紫波町)

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