盛岡タイムス Web News 2010年 10月 19日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉107 及川彩子 リカルドさんの手仕事

     
   
     
  ショパン生誕200年の今年は、各地でさまざまな音楽会が目白押し。10月には、祖国ポーランドのワルシャワで、5年に一度の国際ショパンピアノコンクールが始まりました。

  先日、思いがけず、ワルシャワの友人から、その生誕を記念して発売された限定ポスターが届きました。ショパン愛用のピアノの鍵盤写真を実物大で取り入れたもので、ファンにはたまらない素敵なポスターです。

  さっそく額に入れ、居間に飾りたいと、特注額専門のリカルド工房を訪ねました。主人のリカルドさんは、ここアジアゴでも有名な木工職人。彼の手作り額に入れると、どんな絵も写真も生まれ変わると評判です。

  壁造りの居間が多いヨーロッパでは、どの家にも1、2枚の額絵があります。家族の写真や卒業証書なども、趣ある額に入れ、壁に飾っているのです。

  人口1万人足らずのアジアゴの街にも5軒の額専門店があり、額は、インテリアに欠かせないものなのです。

  細長い鍵盤ポスターを手に取り、「音がこぼれるようなイメージがいいね」と、リカルドさんが作ってくれたのは、唐草を音符型にアレンジして細かく浮き彫りにしたアンティーク調。それに金粉を吹き付けた額でした〔写真〕。

  こうして、ピアノの詩人ショパンの鍵盤は、懐かしい響きを取り戻しました。仕上がりまでに1週間、費用は約5千円でした。

  実家が農家のリカルドさんは、趣味の木工で身を立てようと、独学で額作りを始めて30年。まだ45歳の若さですが、市から、市庁舎に飾る歴代市長の肖像画の額作りを依頼され、イタリアンチロル特有の植物を額に掘り込もうと、思考中だそうです。

  スーパーや文具店でも、軽いプラスチック製の額を売っていますが、リカルド工房の、一彫り一彫りに守られた絵や写真を眺めていると、日々の生活をつなぎとめる命にも感じられるのです。

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