盛岡タイムス Web News 2010年 11月 16日 (火)

       

■ 知事が政府批判 TPP参加の影響試算、農業生産額6割減も

 達増知事は15日の定例会見で、政府が関係国との協議入りを決めたTPP(環太平洋経済連携協定)に参加した場合の本県農産物への影響について生産額が1469億円、60%減少するとの試算を明らかにした。総理や政府関係者の発言に対して「地域で頑張って地域経済を活性化させようという日本中で起きている努力を無に帰すようなことをしようとしてるようにも聞こえ、そういうことはまずいのではないか」と批判した。

  県の試算は農水省が計算した手法を活用し、農水省の19品目のうち算出方法が判明している米、小麦、牛肉、牛乳、豚肉、鶏肉、鶏卵の7品目を対象として計算した。TPPでは輸出額の大きい工業等への影響も相当と推測されるが、県が同日、明らかにしたのは農業関係のみ。

  県として「WTO(国際貿易機関)や既に国がやっていたオーストラリアなどとの2国間の自由貿易協定的なものに対して、日本の農業、岩手の農業を破壊してしまわないように毎年陳情、要望、提案している。同様のことは今後も訴えていかなければならない」との立場を説明。

  TPP参加については「日本全体としてどういう産業経済構造にしようとしているのかということだと思う。最近の閣議決定の文章、それをめぐる総理をはじめ政府関係者の発言を聞いていると、とにかく国を開きさえすればすべて良くなると、関税撤廃みたいなところに向かって推し進もうというようなことを言っているように聞こえる」と、政府側の発言を受け止める。

  日本の長期にわたる経済の低迷は、輸出の伸び悩みではなく内需の低迷すなわち地方の疲弊が最大の要因と分析。TPPに対する政府の主張は「韓国みたいに40何%まで輸出に頼る構造を目指しているのかどうか。内需はもう半分ぐらいまで減っていいというのは地方をそれだけ弱くしていいということ」と解釈する。

  政権交代は地方を強くする内需拡大型の構造改革をすることが「かなり広い国民生活を得た日本の進む道」だったとの認識を示し、「内発的な地方の力を強めるための貿易自由化なら分かる」が「それをやめるという趣旨でTPPに参加するというのであればかなりまずいのではないか」と唱えた。

  農産物輸入をめぐっては同日、県農業会議の佐々木正勝会長らが県に要請書を出した。TPPは「関税撤廃の例外を原則認めないもので断固阻止すること」を訴え、EPA(経済連携協定)の交渉に当たっては国内の農林水産業の健全な発展に影響が生じないような対応、米国とのFTA(自由貿易協定)は米、穀類、肉類などの国内生産の大幅な減少をもたらすため行わないよう、国への働きかけを求めた。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします