盛岡タイムス Web News 2010年 11月 16日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉268 八木淳一郎 望遠鏡教室その6

     
  寺沢高原の秋銀河。右が頂上展望台。北西方向からほぼ真上に立ち上がる銀河(11月6日午前1時26分撮影、遠野市)  
 
寺沢高原の秋銀河。右が頂上展望台。北西方向からほぼ真上に
立ち上がる銀河(11月6日午前1時26分撮影、遠野市)
 
  昭和40年代までは、日本光学(現ニコン)、五藤光学や西村製作所などの一部の高級機を除き、一般向けの望遠鏡は外観はそれなりでも、肝心のレンズやミラーの研磨精度が悪かったり、架台の強度、使い勝手、精度などに問題を抱えた製品が多いのが実情でした。

  雑誌の企画記事の望遠鏡テストによって容赦なく評価され、多くのメーカーはショックを受けたに違いありません。公平を期するためメーカーの反論記事も掲載されました。

  こうして読者あるいはユーザーたちは両者の内容を読み比べながら、それまでの望遠鏡に対する概念を変えていくことになったのです。こうした望遠鏡業界に、新風を吹き込むように現れたのが当時東京・板橋(現埼玉県)にあった高橋製作所というメーカーです。

  鋳物作りのノウハウを有するタカハシは、望遠鏡の架台から細かなパーツに至るまで精密・堅牢に作り、対物レンズにフローライト(螢石)という素材を初めて使用したりして極めて高精度の望遠鏡を量産し、世界中の天文愛好家の目をくぎ付けにするはどのブランドを確立します。

  こうした出来事から、メーカーの多くが優れた製品作りに着手するのでした。一方、他の分野同様、価格競争にも拍車がかかり、ロシアや中国、台湾の製品が続々と参入してきています。また、ミードやセレストロンといった米国のメーカーは、コンピューターとの連動で見たい天体を自動的に導入する装置に力を入れ、円高ドル安も手伝ってわが国でのシェアを大幅に伸ばしています。

  さて、本題の出発点である初心者にはどんな望遠鏡がいいのか?ですが、やはり難しい問題で答えは一つではありません。

  大まかな手がかりをあげれば、反射式望遠鏡は屈折式に比べて価格の割に大きな口径のものを手にできるが、扱いがデリケートで熟練しないと本来の性能を発挿し難く、それに比べて屈折式望遠鏡は比較的値段が張るが取扱やメンテナンスが容易です。

  あるいは楽器などを選ぶ場合もそうかもしれませんが、初心者であればこそ、できるだけ優れた製品に出合うことは使い勝手が良く感覚を磨く上でも有益で、結果として上達が早まり興味も深まっていく、という考え方です。

  しかし途中で投げ出すならば無駄になってしまうので、それなら初めのうちは安いもので様子をみてから、というのも考え方の一つでしょう。ただその場合、使いにくくて感覚的にもしっくりせず、すぐに嫌気がさして興味も失せてしまう、といったことになるかもしれません。さてどちらがいいのでしょう。
(盛岡天文同好会会員)

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