盛岡タイムス Web News 2010年 11月 18日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉334 岩橋淳 空飛ぶライオン

     
   
     
  佐野洋子さんが、亡くなりました。

  かつて本稿でもご紹介した代表作『100万回生きたねこ』は、生命について、愛についてという壮大なテーマを扱いながら、幅広い読者に愛された作品でした。『おじさんのかさ』は、ユーモアの中に人生訓を織り込んだ、寓話としての魅力にあふれていました。エッセイストとしての活躍も、忘れるわけにはいきません。謹んでご冥福をお祈りいたします。残された者としては、せめて作品の紹介で佐野さんの業績を伝えたいと思います。

  ライオンは、言わずと知れた動物界のリーダー。弱きを助けるは、リーダーの勤め。まっ正直なライオンは、とりまくネコたちのリクエストに全力で応えます。ライオンの至誠は、無辜(むこ)のネコたちを喜ばせ、満足させます。でも、それが「あたりまえ」になってしまった時、自らにいっさいの妥協を許さないライオンの愚直さとプライドが、休みたくとも休めなくなって、かれ自身を苦しめることに…。

  リーダーのつらさ。責任感。アテにされるものの弱さと、アテにするものの気楽さ。でも、リーダーにだって、いやリーダーにこそ、休息は必要なんです。誰か、気づいてあげて!

  疲れ果てて石になってしまったライオンを、深い眠りから覚ますのは誰でしょう?

  がんばり屋さんのあの人に、贈ってあげたい一冊です。

  【今週の絵本】『空とぶライオン』佐野洋子/作・絵、講談社/刊、1470円、(1993年)。

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