盛岡タイムス Web News 2010年 11月 24日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉30 仙蔵じいさん 横澤隆雄

     
  昭和60年ころ、遠野市小友町にて  
 
昭和60年ころ、遠野市小友町にて
 
  独り暮らしをしていた仙蔵じいさんは、よく写真を撮らせてくれる人でした。仙蔵じいさんの家を訪問するときはいつも連絡なしで訪問するのですが、急な訪問に嫌な顔もせずに相手をしてくれるものでした。

  夏のある日、一度だけ連絡を取ってから遊びに行ったことがあります。仙蔵じいさんの家に続く道を走りまもなく到着するというころ、道路の先を自転車の荷台にバナナを山のように積んだ人が走っていました。よく見るとそれが仙蔵じいさんでした。遊びに来るというわたしに何かごちそうしてあげたいという思いで、遠くの店までわざわざバナナを買いに行ってくれたのでした。

  「あがんせ」と言って出してくれたバナナは自転車の荷台でたっぷり温められたバナナでしたが、仙蔵じいさんの心遣いが感じられる格別の味でした。

  仙蔵じいさんは、どんな格好でどんな角度から写真を撮っても絵になる人でした。いつでも優しそうに輝く目が印象的で、若いころはハンサムボーイだったのだろうと思います。

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