盛岡タイムス Web News 2010年 11月 30日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉110 及川彩子 聖チェチーリアの歌声

     
   
     
  ここアジアゴの山々も11月になって真っ白に輝き、街ではクリスマスの飾りつけも始まりました。そして月末の22日は音楽の聖人「聖チェチーリアの日」。カトリック教徒にとって、最も大切な「音楽の日」です。

  「チェチーリア」は、3世紀のローマの貴族の女性で、日本ではセシリア、フランス語ではセシル。彼女は楽器を奏で、歌いながら、神を賛美したことから、後に音楽の守護聖人になった人です。

  ヘンデル、リストなど多くの作曲家も、彼女を称える曲を作り、イタリア屈指のローマの音楽学校も、彼女の名を取って「聖チェチーリア音楽院」と名付けられています。

  この日、アジアゴの街では、わが家の娘たちも入団している少年少女合唱団が、老人ホームや病院内にある教会を回り、ミサで献歌しました〔写真〕。5歳の合唱団員も、難しいラテン語の聖歌を声を張り上げて歌う姿に、拍手喝さいでした。

  夜は大人の合唱団が、大聖堂でグレゴリア聖歌を基調とした、昔ながらの音楽ミサ。それは、ハーモニー以前の素朴な祈りの歌で始まり、最後には大合唱の「信仰宣言」に発展する、とても興味深いものでした。

  「ドレミ…」の音階は、本来、祈とう文から取ったもので、五線譜も、5本指を利用して、音程を表そうとしたのが始まりです。「聖チェチーリアの日」は、音楽のルーツを再確認させてくれる場でもあるのです。

  イタリアに来た当初、「音楽の本場」と聞きながら、小学校に音楽の授業がないことに驚かされました。中学校には、週2回の音楽の授業があり、音楽史・読譜などを学びます。でも、歌や合唱はありません。歌は、教会で覚えるもの。さらに興味ある子は、教会付属の少女少年合唱団に参加して活動するのです。

  イタリアでは、今も音楽は宗教と一体。その文化の根を、子どもたちは生活の中で覚え、大人たちは、それを守っているのです。

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