盛岡タイムス Web News 2011年 1月 12日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉37 横澤隆雄 自慢の夕顔

     
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 カドのおじいさんはとても働き者でした。家から坂の上にある畑までの道を毎日何度も往復しての農作業が日課でした。坂の上にある畑ではいろいろな作物を作っていたのですが、そこでの農作業と並行して家の脇にある畑で夕顔作りをしていました。

  春になると夕顔作りの準備が始まるのですが、夕顔は瓢箪(ひょうたん)などと同じく棚で育てなければならないので、その棚作りが高齢者にとっては大変な作業のように見えました。

  4本の支柱を立てそれに竿を渡して棚を作るのですが、夕顔の茎が伸びるのに合わせるため傾斜のついた形の棚を作るのでした。この独特の形をした棚は地元の呼び名で「ユワゴダナ」と呼ばれます。

  ユワゴダナの根元に植えられた数本の苗は日増しに棚の上を目指して伸び、棚いっぱいに葉を広げて行きます。白い大きな花が終わったあとにできた小さな実は夏の光を浴びてぐんぐんと大きさを増し、お盆の頃までには立派な夕顔に成長します。自慢の夕顔を見つめるおじいさんの目は少年のように輝いていました。

(紫波町)


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