盛岡タイムス Web News 2011年 1月 13日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉341 岩橋淳 しずかなおはなし

     
   
     
  押し詰まっての大雪で、わが家はテレビのアンテナがやられて映りません。かように人間界は混乱をきたした模様ですが、じたばたしても始まりません。こんな時こそ、静かな夜を過ごすのもいいものです。そんな夜にぴったりの物語。

  ロシアの詩人・児童文学者、サムイル・マルシャークは、現代も上演が重ねられている劇「森は生きている」の作者でもあります。両者とも北の大地を舞台に、自然界の厳しさと生命の力強さを描いています。

  北の森の奥深くに棲む、はりねずみの一家。小動物の習性で、とうさん、かあさん、ぼうやの3人で、散歩にでかけるのも、真夜中。晩秋、深夜の森の気配をご想像あれ。
ちいさな こえで よむ おはなし。そっと そっと そっと…。

  こどもたちの寝物語として編まれたのでしょう、タイトル通り、声を落として読み進むにふさわしい出だしです。たとえ真夜中の森が轟々(ごうごう)と風をたたえていたとしても、一家を狙うおおかみが現れたとしても、声を荒げてはいけません。淡々と進む物語には、ロシア民話の懐の深さをほうふつとさせる落ち着きが感じられます。悪役、おおかみもビジュアルは怖ろしげに描かれていますが、自然の掟(おきて)の中に暮らすものとしては対等の扱い。

  しずかに、しずかに、更けゆく夜を味わいつつ。

  【今週の絵本】『しずかなおはなし』S・マルシャーク/文、V・レーベデフ/絵、うちだりさこ/訳、福音館書店/刊、1155円(1956年)。

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