盛岡タイムス Web News 2011年 1月 17日 (月)

       

■ 〈古都の鐘〉44 チャペック・鈴木理恵 白髪発見

     
   
     
  新年のある朝、鏡をのぞいて髪を梳(す)いていると、白いものが光った。よく見ると何本かの白髪。ついに来たかと思った。年の割には白髪がまだないほうだと自負していたが、いつその日が来るかと、以前から気にはしていた。

  年齢を聞かれて、あれ、いくつだっけと、とっさにぱっと答えられないことがある。今年で42になるが自覚はなく、良いのか悪いのか、気持ちは大学生の頃とさほど変わっていないように思う。

  しかしながらわたしも女であるから、しわとか白髪とか増えた減ったとやはり気にもなり、いいクリームがあると聞けば、買って使ってみたりもする。

  オペラの立見席も最近はもうだめで、3時間立ちっぱなしだと、翌日は身体が全くもって使いものにならない。多少お金を余分に払っても座る席を取るようになった。寄る年波には勝てないというか、気持ちは若くても、身体はやはりそれ相応ということか。

  昨年は後半、主人の突然の病気に明け暮れた。結婚1周年、どこか旅行にでもと言っていた矢先のこと、がんだったということもあって、主人もわたしもかなり動揺した。急激に目の前に「死」というゴールが鮮烈に見えたように感じた。

  幸い手術も無事済み予後も順調で、仕事にもやっと復帰したところだが、命も限りあるものと、あらためて「警告」されたのかなと振り返って思う。

  主人の父も90を過ぎて、最近はもう本当に弱ってしまって、何はあれども欠かさなかった日曜の教会礼拝にも行けなくなった。

  痛い痛いと訴えながら日々衰えてゆく姿を見ていると、大して何もできないもどかしさを覚えながら、生きるって何なのかなとぼんやり考えたりする。年の暮れに立て続けに急逝した知人たちのことを思い浮かべながら。
(チャペック−鈴木理恵/ピアニスト)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします