盛岡タイムス Web News 2011年 1月 20日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉342 岩橋淳 落語絵本かえんだいこ

     
   
     
  年頭は、落語絵本でご機嫌を伺います。

  斯界の大ネタのひとつ「火焔太鼓」は、かつては志ん生・志ん朝親子に代表される「古今亭の十八番」。元はごく小さな訓話だったこの噺を、まくらから本編、随所に挿入されるクスグリにいたるまで、手を入れて現在の形にしたのが名人・志ん生。落語ファンならご存知のとおり、これはアドリブや緩急、微妙な「間」が身上となる。これを絵本にしようてぇんですから、作者・川端さんの意気込みも並大抵ではなかったものと思われます。

  人が好すぎて損ばかりしている古道具屋の甚兵衛さんが仕入れてきた、煤だらけの太鼓をめぐっての騒動。口から先に生まれてきたようなパワフルおかみさんとの掛け合いが、聞き所です。

  ところが紙の上に落とし込むとなると、速射砲のようなおかみさんのセリフのせいで、膨大な文字数! 音読の際には、「読む方」にばかり気を取られないように…というのはコクかもしれません。これは一計を案じて、一対多、ではなく、マンツーマン、それも聴き手を隣もしくは膝の上に載せて読むなどの工夫が必要と見ました。

  江戸時代であるはずの甚兵衛さんとこの店先に、ソフビの怪獣が居るのはご愛敬。ここはやはりイキオイ、に加えて画の力を借りての「興業」が、不可欠でしょう。

  【今週の絵本】『落語絵本かえんだいこ』川端誠/作、クレヨンハウス/刊、1260円、(2010年)。

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