盛岡タイムス Web News 2011年 1月 25日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉273 八木淳一郎 春の光

     
  冬の岩手山の上に姿を見せた星座たち(滝沢村柳沢、1月)  
 
冬の岩手山の上に姿を見せた星座たち(滝沢村柳沢、1月)
 

 1月も末になりますと、星空には早、春の香りが漂ってきます。

  その代表的なものは、かの北斗七星の登場でしょう。おおぐま座の北斗七星は、あたかも冬眠から醒(さ)めた熊のようにゆっくりと北東の山の上に顔を出してきます。午後9時を回った頃には7つの星をたどることができるでしょう。

  その大きなひしゃくと背中合わせになるような形で、東の空にはしし座が現れています。しし座は「ししの大鎌」といわれる印象深い形をしています。はてなのマーク「?」を反対向きにした形と言った方が分かりやすいかもしれません。ライオンの頭と胸に相当し、心臓の位置には1等星レグルスが輝いています。レグルスとは小さな王という意味です。

  ところで、おおぐまとししの間にはやまねこ座という、あまりなじみのない星座があります。17世紀に作られた新しい星座であることと、3等星より暗い星ばかりで構成されていることも知られていない理由でしょう。

  やまねこ座を見るにはやまねこのような鋭い目が必要だといったジョークさえあるのですが、猫好きの人は多いでしょうから、この際、ぜひ、その方々に盛り上げてもらいたいものです。

  地味ついでに、やまねこ座の隣にはこじし座というのがあって名前の通り小さな星座で、これなどいよいよ知らない人がほとんどでしょう。

  これも17世紀に、隙間家具みたいに設けられたニューフェースです。その際、やまねこ共々よろしくお見知りおきください。

  一方、しし座の鼻づらのところにはかに座があります。こちらの方はしし座と共に星座占いに出てくるので、よく知られています。黄道十二宮といって太陽の通り道にあたる星座が星占いに使われているのですが、このように動物の星座が多いので獣帯とも呼ばれます。

  ただ、かに座も小さくて目立たない星ばかりですので、有名なわりに見つけにくい星座です。ですが、カニの甲羅に相当する場所にはプレセぺというかわいらしい名前の星の集団があって、澄み切った夜空に肉眼でボーッとした光の存在を見つけることができます。双眼鏡を向けてみますと、まさしくかわいらしい星々の群れに誰もが思わずため息をつきながら見とれてしまうことでしょう。蜜蜂が群れている姿にも例えられていると言えば、その愛らしい姿が想像できるでしょう。

  まだ厳しい寒さが続きますが、そんな中、ちょっぴりとづつ日差しに暖かみが感じられるようになってきます。必ず雪解けの日は訪れるのです。星空の方も、しし座、おとめ座、かみのけ座などのはるか遠い銀河の大集団が登場してきて、数千万光年の旅の果てに、小さな地球と人類に夜毎ほほ笑みの光を投げかけてくれるのです。
(盛岡天文同好会会員)


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