盛岡タイムス Web News 2011年 2月 8日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉274 八木淳一郎 新しい年

     
  森林舎に押し寄せる真冬の寒気。北斗の星々はあやしいばかりに一段と輝きを増す。その右側でうしかい座の1等星アルクトールスが存在感を誇示する(宮古市門馬区界)  
 
森林舎に押し寄せる真冬の寒気。北斗の星々はあやしいばかりに一段と輝きを増す。その右側でうしかい座の1等星アルクトールスが存在感を誇示する(宮古市門馬区界)
 
  新年を迎えたと思ったら、早くも今年の1カ月を使い果たしてしまいました。時間は非情です。誰のことも待ってはくれません。1分1秒たりとも無駄にはできないと思いながら、現実にはせわしなく一日が過ぎていきます。

  なにしろ、地球は太陽の周りを大変なスピードで回っています。およそ9億`のみちのりを1年で巡るのですから、時速に換算すると約10万`という猛スピードです。新幹線は時速250`位ですから、新幹線の大体400倍もの速さです。

  しかも、地球は自転により24時間で1回転していますが、こちらの方のスピードは盛岡辺りですとおおよそ時速1200`。すると、こちらは新幹線の5倍ほどの速さです。

  このように毎日大変なスピードで動いているのですが、さらに地球を含む太陽系全体が固有運動といって特別の動きをしています。その上、私たちの所属する銀河系は回転していて、さしわたしが10万光年の銀河系が一回転するのに2億5千万年かかると言われており、銀河系の中心から約3万光年の位置にいる私どもは、すると…!の速度で回っている勘定になります(ちなみに1光年は秒速30万`の光が1年かかって進む距離のことで、およそ10兆`です)。

  まだあります。今から150億年前の宇宙開闢(かいびゃく)以来、宇宙は膨張していると考えられており、これまた猛スピードで動いている訳です。

  ところで宇宙誕生からの150億年の歴史を1年の長さに縮めてみますと、私たち人類の祖先が現れたのは大みそかの午後9時ごろからで、文明を築いてからの時の流れは最後の数秒に過ぎません。

  アポロ11号で月に降り立ったのは新年を迎えるわずか0・07秒前!の出来事です。そして、カレンダーをめくるとそこには新しい年が待っています。

  新年4月、遠ざかりつつあった月がとうとう視界から消えてしまいます。5月になると、230万光年のかなたから接近してきたアンドロメダ銀河との衝突が起こります。そして6月には、膨張してきた太陽のガスの中で地球は蒸発してしまいます。

  そのもっと前の1月のうちにも、徐々に進む大陸移動や炭酸ガス蓄積など、地球の気候や環境の大変動によって今の生物のほとんどが消滅しかねず、地球の最後を見届けるヒトがいるのかも危ぶまれます。

  果たして人類は1分1秒を大切にし、他の星に移住する技術を身につけるなどして、この過酷な運命を克服することができるでしょうか。
(盛岡天文同好会会員)

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