盛岡タイムス Web News 2011年 2月 10日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉345 岩橋淳 うがいライオン

     
   
     
  昨年、リーダーとしての責任感が昂(こう)じて石になってしまったライオンの話(佐野洋子『空とぶライオン』)をご紹介しましたが、ここにもいました、王の何たるかを追求する(このあたりで既にキマジメ)ライオン。百獣の王ならではの悩みと奮闘努力を、今週もお目にかけましょう。

  ただし、今週の「王」は動物園の住人であり、語り手が庶民派詩人、作画が関西脱力系画家という組み合わせであることをお忘れなく。

  種ごとに隔離され衆目にさらされるなかで、王たるものの威厳を示そうとするには、とにかくひたすらに怖がられること。檻の中のライオンくんは、来る日も来る日も、いかに怖ろしげに吠えるかをテーマに、見物人と対峙しているのでした。

  ところが、単調な毎日には変化がほしくなるもの。見物人を笑わせてみたい、と思ったのは、魔が差したとしか言いようがないけれど、誰がかれを責められましょうか。

  バナナの皮こそ無いけれど、滑って転んで見せるというベタなやり口。ただし、もくろみ通りに笑いを取ってはみたものの、次の瞬間に訪れたのは、「後悔」の二字。これはもう、挽回するしかないわけです。がおーっ がおーっ がおーっ がおーっ がおーっ! …、そりゃあ、喉(のど)も枯れますって。でも、やせても枯れても、かれは、王。

  テンポの良い語り口と個性派の絵が、ぴったりマッチ。王の苦労、お察しいたします。


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