盛岡タイムス Web News 2011年 2月 13日 (日)

       

■ 希少資源のリン確保へ 研究会が廃棄物の有効活用へ取り組み

 植物の成長に必要なリン(リン酸)は近年、レアアース並みの希少資源として世界的に枯渇が懸念されている。こうした中、下水道処理で生じた焼却灰やさまざまな産業分野で廃棄物の中に含まれるリンを有効活用する取り組みが始まっている。県内では県リン資源地産地消研究会(代表・菅原龍江県工業技術センター企画デザイン部特命部長)が昨年9月発足。県内での活用について研究している。

  リンは窒素、カリウムと並ぶ植物にとって必須3要素。県立農業大学校の小野剛志顧問教授によると、「黒ボク土」と呼ばれる火山灰層の東北などでは農業に適さない土地として戦後、大量のリンが投入された。戦前は人や家畜のふん尿を使用してきた。

  県内でも県北の土壌は「アロフェン質」という弱酸性の成分で県南と異なる。このためリンを使わなければ作物の収穫がほとんど見込めない。農業に適した土壌改良のために現在も農業県である本県にとって必要不可欠な資源だといえる

  肥料製造メーカー小野田化学工業の橋本光史生産技術部顧問によると、リンは鉱石から産出され、産出国は中国、米国、モロッコで5割以上を占める。国内で使われるリンは輸入に頼っている。

  リン酸肥料の消費量は中国、インドなど人口集中地域やバイオエタノールに力を入れる米国、ブラジルで多い。日本は韓国に次いで耕地面積当たり消費量が世界第2位。「あと100年で枯渇すると言われ、米国はリン鉱石輸出を禁じ、中国は法外な関税をかけるなど囲い込みを始めている」と指摘する。

  一方、日本の下水道では処理後に出た大量の焼却灰などにリンが含まれている。斉藤博之県工業技術センター副理事長(農学博士)は「焼却灰には約3割のリンが含まれる。鶏ふんや工業系の産業廃棄物、食品工場の廃棄物などにも含まれている」と説明する。

  研究会は有限で入手の難しくなってきたリンについて、焼却灰や廃棄物から抽出して有効活用の可能性を探ろうと昨年9月発足。畜産、肥料製造、環境系、下水処理、産廃処理の各業者のほか金融機関やプラント製造業者、関連行政機関、排出事業者、NPO、大学機関などが参加した。

  2回目の研究会が今月10日、盛岡市上田の市産学官連携研究センターで開かれ、約100人が参加した。今回から県環境保健研究センターが共催した。菅原代表がリン酸肥料化に取り組む岐阜市の先進事例の視察結果、県が下水処理におけるバイオマス利用と二酸化窒素対策の課題について報告した。

  斉藤副理事長は「工業用など活用はさまざま考えられる。研究会は関係する産業をつなぐ役割になる。下水の焼却灰からリンを抽出したあとの建材などへの用途も検討する。来年度は研究中の内容の発表も行っていきたい」と話している。

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