盛岡タイムス Web News 2011年 2月 15日 (火)

       

■ 〈幸遊記〉7 照井顕 くつわだかたしの動物哀歌

 高校時代から、ギターを持って歌い始めたという、シンガー・ソング・ライター「くつわだ・たかし」が、岩手を代表する詩人のひとり、村上昭夫の「動物哀歌」に出合ったのは1978年。早稲田の学生だった22歳の時だったという。

  以来、彼は全国行脚する歌旅の友として、いつでもその詩集「動物哀歌」を持ち歩いていた。彼は石原吉郎、清水昶、村上昭夫らの詩に曲をつけて歌い、もちろん彼自らも詩を書いた。村上昭夫の詩には「生きる希望が存在している」と語り、僕の店にやって来るたびに“犬”や“ねずみ”“すずめ”“雁の声”を唄っては、僕の胸を振るわせた。

  85年秋、「くつわだ」が旅の途中で盛岡に降り、街をさまよい歩き高松の池のほとりに建つ村上昭夫の詩碑と対面した時、どっと涙があふれたという。

  昭夫の二つ目の詩碑が、彼の本籍地である父の故郷・陸前高田市矢作町に建立された98年、彼はその碑前にて動物哀歌の唄を捧げた。そして僕たちは「村上昭夫の動物哀歌をうたう」というCDを作ろうということになった。盛岡市青山に住む昭夫の弟、達夫氏宅を訪ねると達夫ご夫妻はもちろん、昭夫の母・タマカさん、昭夫の妻・ふさ子さんまで顔をそろえて待っていてくれた。

  そんな話に感動してくれた榎並和廣さんという知り合ったばかりの方が、制作費の足しにとウン10万をポンと出してくれてCD化が実現した。

  出版されたCDを持って盛岡市立図書館を訪ね、詩碑の前でコンサートをやろうということになり、それは2000年11月3日と2002年11月10日の2回、図書館集会室で開催され、1度目には詩人・宮静枝さん、2度目には昭夫の弟さんたち、和夫・達夫・成夫の3氏が顔をそろえてくれ、かつて昭夫が郵便局に勤めてた時の同僚だったという中村フミさんまでが集まってくれたのでした。

  振り返ってみればまだ10年そこそこ。だが、昭夫の母、妻、弟2人、それに宮さん。くつわださんまでもが、この世を去ってしまった。動物哀歌をしみじみと読み聴く。
(開運橋のジョニー店主)

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