盛岡タイムス Web News 2011年 2月 16日 (水)

       

■ 〈過ぎ去りし日〜北上山地の写真帳〉42 牛あづがい 横澤隆雄

     
  牛あづがい(昭和60年ごろ、川井村=現宮古市=箱石にて  
 
牛あづがい(昭和60年ごろ、川井村=現宮古市=箱石にて)
 
  子どもの頃の記憶の中には「牛あづがい」に明け暮れる両親の姿があります。「牛あづがい」とは「牛の世話をする」という意味で使われる言葉です。わが家の牛は、夏の間は放牧地に行っていたので「牛あづがい」は冬の仕事でした。

  晩秋の頃に放牧地から牛が帰って来た日から牛あづがいが始まります。親牛とともに放牧され見違えるほどに大きくなった子牛は秋の牛競りで売られて行き、残った親牛は牛舎の中で冬を過ごします。

  私の家では「は〜だ」と呼ばれる繁殖牛が4頭いたので春までには4回の出産がありました。餌作りから餌やり、堆肥の搬出や牛舎の掃除、牛のブラッシング、それに加えて出産の世話など「牛あづがい」の中にはたくさんの仕事が含まれていました。

  そんな大変な「牛あづがい」から開放されるのは5月の連休の頃。放牧地に牛を送り出すと牛舎の中が急に寂しくなり、気だるそうな表情を見せる両親の姿が印象的でした。

  牛を飼わなくなった今でも春先に両親が気だるそうな表情を見せることがあり、「牛あづがい」の名残なのだと感じることがあります。

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