盛岡タイムス Web News 2011年 2月 21日 (月)

       

■ 〈古都の鐘〉45 チャペック・鈴木理恵 わが家の必需品

     
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   きょうの材料。真ん中が赤カブ、ゆでたものが売られている。その左下がこちらのセロリ、中は白い、それにトマト、残り物の赤ピーマンにキャベツ少々、そしていつもの野菜とハーブの面々。鍋の左の細長いのがミキサー。これを直接鍋に入れて使う。  
  わが家の食生活は、いたって簡単なものである。朝はコーヒーにパン。昼は主人は仕事で外食だし、わたしもひとりだから、家にいて前の日の残り物でもあればそれで済ましてしまう。夜だって、家人がうるさくないのをいいことに、大抵は一品作るくらいなもので、書いていて主婦としてちょっと恥ずかしくなってきた。

  ちなみに書いておくと、ドイツ、オーストリア辺りの古来の習慣として、昼はきちんと温かいものを食べて、夜はいわゆるコールドミール、つまり火を使わない食事で軽く済ませるというのが基本的にあるから、夜のレストランでも、軽くオープンサンドにビールくらいの食事をしている人が普通にいる。その代わり昼は大抵どこの店でも、お得な定食を出していて、決まってスープの前菜と肉かベジタリアン用に野菜のメーン料理である。さすがはカトリックの国で、キリストが亡くなった金曜は肉を食べないから、肉が魚に代わる。

  主人の両親のところも、昼は何か作っているけれど、夜は決まってパンにバター、ハムかレバーペーストにチーズ、あればゆで卵、トマトやピーマンをざくざく切ったもの、それにフルーツティーである。

  わたしと言えば、日本人の常でやはり夜も温かいものが欲しくなるから、野菜たっぷりのスープをよく作る。クルーゼの大きなほうろうの鍋も持っているけれど、じっくり煮込む時間がないと使えない。それでもっぱら圧力鍋のお世話になっている。

  もうかれこれ10年前になるか、近所の店のバーゲンで、日本でもおなじみフィスラーの圧力鍋が売りに出ていた。日本で買えば3〜4万はする。こちらのバーゲンでも当時1万円程はした。その頃わたしが使っていた鍋など、その辺で買った2〜3千円程度のものだったから、いくら半額でもパっと思い切れない。

  便利だという話は方々から聞いていたが、買っても使いこなせるか、無駄な買い物にならないか、迷いがあった。毎日出かけるたびにそこを通り、ショーウインドーに鼻がくっつくくらいに眺めては思案して、そして―思いきって買った。これがアタリだった。

  今ではなくてはならない必需品で、肉、魚に野菜料理はもちろん、デザートにも大活躍。結局大小2つさらに買い足した。圧力鍋さえあれば15分で簡単においしいスープができる。

  鍋にあり合わせの野菜をごろごろと、ローリエとタイムを入れて、だしが出るから、ベーコンやソーセージの切れっ端や魚の切り身か、キノコでもあったらそれも入れる。レンズ豆もいい。タマネギ、ニンジン、セロリ(こちらのは夏みかんくらい大きく丸い)、にんにくは必ず入れる。パセリの茎もあれば取っておいて入れる。ショウガも一片、よく隠し味に入れる。圧力鍋なら5〜6分で全部煮えてしまう。

  こちらの人は、スープというとポタージュにしたのを好むから、次の出番はスティック状になったミキサー(これもまた便利)。これを圧力が下がったばかりの熱い鍋の中に直接入れて、がががっと回す。すると中身がとろっとしたピューレ状になってそれでおしまい。以前はコクが出るから仕上げにクリームを入れていたけれど、今は健康を考えて、お客様を呼んだときだけしか入れない。

  材料の野菜の組み合わせを考えるのも楽しい。最近のヒットはセロリにリンゴ、赤カブにトマト、ニンジンとショウガ、ホウレンソウと鮭(さけ)。先日とあるレストランで食べたスープは、オレンジにショウガという意外なコンビだったが、味はなかなかで、これも試してみたいと思っている。

  週に1度は必ず登場するのはミゾスッペ、つまりみそ汁である。これにやはり圧力鍋で炊いた白いご飯、そして盛岡から持ってきた梅干し。胃だけでなく、わたしの心もほっと落ち着く時である。
(ピアニスト)

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