盛岡タイムス Web News 2011年 2月 24日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉347 岩橋淳 キンコンカンせんそう

     
   
     
  戦争は、多くの尊い命を奪います。そして、さらに多くの人の生活に、不自由を強います。過去の戦争でも、供出と称して多くの物資が国家の名の下に集められ、空しく消費されてきました。盛岡城址の、主のない銅像の台座を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  さて、互いに総力を挙げて戦っている、ふたつの国。たとえ幾万の自国民の命が尽きるとも、弾薬尽きるその時まで、戦闘は終わることがない…、ところが、肝心カナメの兵器の材料‖金属が尽きてきた。すわ、命令一下、国内の教会、時計塔、学校から、鐘という鐘が集められたのです。集めた金属を鋳造して、作り上げたのは、超・巨大な大砲。これで一発ぶっ放せば、我が軍の勝利は絶対マチガイなし! …って、う〜む、それってヤマトムサシの大艦巨砲主義、70年前の発想では? 

  そして、コチラで考えるようなことは、当然、相手方でも。かくて、対峙する両陣地から、巨砲の咆吼(ほうこう)が轟々と…、あれ?

  権力に固執する者が嫌うのは、嗤(わら)われること。コミカルな絵柄で、力めば力むほど意図しない方向へと事態が進む、皮肉な展開。大義や見せかけの正義などは関係なく、ひたすらに笑いのめす。かつてレジスタンス活動にも参加したという硬骨の作者が描いた、痛烈な戦争批判です。

 【今週の絵本】『キンコンカンせんそう』G・ロダーリ/作、ペフ/絵、A。ビナード/訳、講談社/刊、1575円(2010年)。

 

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