盛岡タイムス Web News 2011年 7月 1日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉54 草野悟 野田村の愛の木


     
   
     
  震災から3カ月、いろいろなドラマが毎日メディアに紹介されてきました。そうか、3カ月も経ったのか、90日か、と写真を整理していましたら、3月20日ごろに野田村の国民宿舎えぼし荘にうかがったときの写真が出てきました。

  えぼし荘の裏山に驚く光景がありました。ご覧ください。しっかりと支えあい、抱き合い、二人で頑張って立っています。恋人同士にも、長年連れ添った夫婦にも、ご近所同士にもいろいろと見えます。震災直後だっただけに涙が出てしまいました。何十年も何百年もこうして生きてきたんでしょうね。

  先日、宮古で青年4人と食事をしました。震災後の対応や避難所の人たちの不安や心配、これからの仕事などテーマが絞れないくらい熱い話を聞きました。

  この青年たちは全員被災者です。家はなく避難所生活です。それでも自分たちの苦労だけを話すのかと思っていましたら、自分のつらさは誰も話しません。「仮設住宅の下請けの会社が資金繰りに困っている。いまだに作業代が入ってこない。急げという指示だけが上から来るので、借金して資材を買っている。もう限界らしい」と、ひどい話ですね。

  どうか役所のご担当の方は、こうしたお金の流れもチェックしてください。「被災した地域の工事関係者に発注している」、なんて美談のようですが、お金を払わないなら口先だけです。

  青年との話の中で、これからの必要なものは何だろうとなりました。明確な答えでまとまりました。「資金」「うまいもの」「愛」の3つです。

  「資金」には財産も含まれます。破壊された土地建物でも、少しでも財産として残ってほしいとの願いがあります。さらに財産には「愛着権」があります。育った土地そのものに価値のある愛着です。納得ですね。

  「うまいもの」は、決してグルメを指すものではなく、普段通りの生活で食べていた「懐かしい味」です。最後の「愛」は、国や県、市町村の担当者に「心配り」してほしいという願いです。素晴らしいまとめでした。

  こうした若者が、何年かかるかわからない気の遠くなる復興のエンジンになることは間違いありません。一歩ずつ、着実に成長しています。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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