盛岡タイムス Web News 2011年 7月 3日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〜あなたへの手紙〉糠塚玲 瓦礫の声

  瓦礫の声
糖塚 玲(盛岡市)
 
二〇一一年三月十一日の震災の日から
私はこんな姿になってしまいました
あなたは見たくないでしょう
涙を流していたものね
でも見ないでいられないから
元の住んでいた所に来たのですね
 
私は見てもらいたいと思っています
時間をかけてすべてを見て
忘れないでほしいと思っています
 
私を見ている時に
あなたの胸に去来することは何でしょうか
あなたが悲しいわけは何ですか
あなたが苦しいわけは何故なのですか
元の暮らしがしたいと
惹かれるのはどうしてですか
あなたが本当に
愛していたものは何なのでしょうか
きっとあなたは見極めるでしょう
 
この地は
今まであなたがやって来た事を
証明するものは
何一つ残っていない
ただ、この虚しさに立つしかないあなた
でも生きている自分がいるのです
 
腹に力を入れてみて下さい
手を握りしめてごらんなさい
挑戦する自分を現わしてみて下さい
もしかして
まだ力が残っているのが
分かるかもしれません
 
私はもう捨てられるだけなのですが
今一度あなたの役に立ちたいのです
ショベルカーが首を振って近づいてきます
私は所詮、物ですから覚悟はしています
あなたの役に立てた過去を思い出しています

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします