盛岡タイムス Web News 2011年 7月 4日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉26 照井顕 泉田之也の昨陶オブジェ

 泉田之也(ゆきや)さん(45)の作陶展が明日(5日)まで、かわとくキューブ館で開かれている。彼は三陸海岸の岩肌をイメージさせる、「やきもの」に見えないユニークな紙工的デザインのオブジェ作りをもっとも得意とする、陶芸家である。

  生まれは、陸前高田市。生家は今回の津波からは免れ、野田村にある窯や、自宅のギャラリーも無事だったという。

  彼は、大卒後1年間サラリーマン生活したのち、自分の手で何か創ることをしたい!と岩手に戻り「小久慈焼」に入社し、3年修業した。その間には県美術工芸展にて協会賞、東北工芸展入選など、すぐさま頭角を現し、1995年独立。「のだ窯」を構えた同年「日清めん鉢大賞展」で優秀賞。2000年、02年と「朝日陶芸展」でグランプリを受賞。以来数々の陶芸展で入選入賞を果たしてきた、見るからにカッコイイ男なのだ。

  「夢は、ふるさと陸前高田での個展なのです」と語ってくれたのは96年9月。ならば!と3カ月後、陸前高田の「まちかどギャラリー・おおまち」で開催した冬季の陶器展。斬新なデザイン。使い勝手の良さ。質感の気持ち良さ。その作品の素晴らしさから想像できない値段の安さと相まって、展示品は即完売。予備に持って来ていた作品も底をつき、急きょ往復8時間かけて野田から再び作品を持って来るという事件的な作陶展だった。

  最近はアメリカ・サンタフェの「タッチングストーン・ギャラリー」で3年連続オブジェ作品の個展を開き、毎回完売してしまうという。しかも作家不在のままである。「来年は行ってみようかな」と笑う、門には福も来た様子。

  来年(12年)、創業100周年を迎える大船渡市盛町の「うなぎの三浦屋」ご主人・三浦日出夫さん(68)は、彼に惚(ほ)れ、店のお座敷を開放し個展を10年間、毎年開催した。「すごく売れた」と泉田さん。

  三浦さんは、ジャズと映画を愛し、長年にわたりサッカー少年を育てた人。以前、僕が陸前高田の住民となった63年からのスイングジャーナル誌を高田の店に寄贈してくれた。僕が盛岡に来た01年には、古い映画のパンフを大量にくれた。この震災後には「幻の銘酒だよ」と言って酔仙を開運橋のジョニーに持って来てくれた。拝。
(開運橋のジョニー店主)


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