盛岡タイムス Web News 2011年 7月 10日 (日)

       

■ 〈不屈の意志〉東京電波盛岡工場・野場豊工場長に聞く 節電工夫し生産性を維持

     
  電力制限について語る野場工場長  
 
電力制限について語る野場工場長
 
  盛岡市の盛岡東京電波盛岡工場の野場豊工場長に東日本大震災と、東北電力の15%の電力制限に伴う対応を聞いた。同社は水晶デバイス、電子機器、酸化亜鉛単結晶などを主力に、県内の先端産業の一翼を担う。電力については大口の供給先として、勤務時間帯の移動や、社員が消費電力を把握する仕組みづくりを通じて削減に取り組む。アジア各国との激しい競争に生き残るべく、生産性維持に工夫を重ねる。(鎌田大介)

  -震災後の状況は。

  野場 震災の2日後に電気が戻ったが、ラインを動かすまで1週間掛かった。物流が止まり、お客さんが優先する物から、限られた材料で生産をスタートした。装置に大きな影響はなかった。従業員のガソリンがなかったし、最初の週の夜勤は余震があるのでやめ、ラインを細くして動かした。2週間後には通常稼働に戻した。

  -工場は電力はどれくらい使用しているか。電力削減への対応は。

  野場 約1400`h使っている。ちょうど投資設備が1ライン7月1日から増え、稼働するところだった。夏場になったら契約電力を変えねばならなかったが、そこに制限が入った。さらに投資があり、ラインも増えた。心が痛むが、契約電力を見直さなければならず、契約電力を少し上げた。企業は存続させねばならないので、上げさせてもらい節電の対応をした。

  実際うちはクリーンルームを持っていて、24時間の30日稼働なので、土日稼働などの手段は効果としてあまり大きな期待が持てない。デマンド監視のモニターの場所を設け、電力がどういう状態で使われているか、皆さんで分かるようにして協力してもらい、冷房を切るなど電力状況を見るようにしている。

  そういう状態にして制限値を超すときは切るしかないが、生産設備は切れない。電子部品の検査工程で、検査は25度でという仕様がある。25度プラスマイナス2度の環境下で検査して、こういう特性であれという仕様がある。すると28度にはできないから、簡易的に仕切ってそこだけ空調をかける。あとは単純な話で、空調ユニットによしずを掛けるなどして、直射日光が当たらないようにすれば、5%くらい改善するという。

  生産設備は冷却水を使って冷やしながらやる設備が結構あり、工場では冷却水の温度が上がらないシステムを持っている。「クーリングタワー」「水冷チラー」などの装置を使い、タンクの水温を20度くらいに保つ。これを夜だけ運転して生産可能にならないか実験して、最大電力の昼間は停止するとか、蛍光灯のLED化など。

     
  盛岡市上飯岡の盛岡東京電波  
 
盛岡市上飯岡の盛岡東京電波
 
  生産体制では、定休日を平日にずらしてやっている部署が一部にある。電力を調べると、今は2交代でやっていて、夕方5時半から7時半くらいまで残業的につなぐ時間帯がある。朝方の4時半から6時半や7時の時間帯の電力を調べるとそこが落ちている。そこを昼間の時間帯にシフトするよう、変形労働の時間を見直している。まだ実施はしていないが、7月後半に気温が高くなれば、暑い時間帯のラインの稼働率が下がる。昼の部と夜の部が交代する時間帯は、どうしても残業的につないでいるのでラインの稼働率が落ちるから、そこを昼間に集中させる。

  やる人は大変で、朝4時出勤というシフトが一部に出てくるが、できるだけ極端にならないようにしたい。今後、外の気温が上がっていき、これらの施策が本当に有効に機能するか、気温との兼ね合い、生産性との兼ね合いを見ながら次から次へと手を打っていく体制は取っておかねばならない。変形労働も従業員代表と話をしたり、社則を変えて監督署に届け出る準備をしている。

  -今後の製造業の展望は。

  野場 電力経費は落ちると思うが、わたしたちの業界は、来た注文に対して「電力がなくて稼働できない」と言った途端に、その仕事はよそに流れていく。中国や台湾などとシェア争いしているので、何かあってそちらに流れると注文は回復できない。そういう意味は皆、理解している。開発して投資して軌道に乗せようとしたとき、震災と電力の話でこういう状態になった。原発問題で電力を抑えられると、どうやって世界に勝てるもの作りをしていくか不安。岩手、宮城と言えば、海外からも女川原発の名前を出して質問されるようになった。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします